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初めての夏 2-5
『コンコン!!ガチャッ!』
(ーーーーーー!)
「夕人くんーーー!大丈夫ーーー!?」
突然激しいノックと同時にドアが開き、そこに立っていたのは、
「あっ……え、か、母さん……!?」
そこには、速生の母が立っていた。
「ーーーって、ハヤ!あんたなんでいんの?」
「え!?い、いやいや…それはこっちのセリフだけど!なんで母さんが………?」
速生の母は両手に持ったトレーに置いてある氷枕と経口補水液の入ったペットボトルを机の上に置くと、
「朝美さんから連絡もらったのよ!
“夕人が高熱を出してるけど、仕事のトラブルでしばらく帰れそうにないから様子を見てきてほしい”ってね〜。
私今日は遅番だから家にいたし………って、あんた、ハヤ!夕人くんしんどくて寝てんのにあんたがいたらゆっくり休めないじゃないの。
ほら、家帰ってなさい!」
相変わらずの早口で捲し立てる、速生の母。
「夕人くん、ほら、大丈夫?
熱測れる?
頭の下、氷枕敷いたら楽になるわよ、頭上げて」
その声に、夕人はぼんやりと目を開ける。
「んん………え……?速生の、おばさん………?な、なんで……げほっ、げほっ」
「いいからいいから、気にしない!おばさん今からおかゆ作って持ってくるから、このまま、寝てなさいね?
ーーほら、ハヤ!あんたは早く帰ってな!」
「いや…………けど、あ、あの………」
「あら?ハヤ、あんた顔赤いわよ?えっ、まさかハヤまで風邪……」
「〜〜〜〜…あーっもう……な、何でもねぇよ!帰ればいいんだろ!
ゆ、夕人……お大事に!」
速生はぶっきらぼうに大きく叫ぶと、夕人の部屋を走って出て行った。
「なによあの子……反抗期かしらねぇ?
あっ、夕人くん、ちょっと体温計見せて………、
えっ!39.9℃︎!?高いわね!」
「げほっ……あ、あの………おばさん、速生は……?
もしかして、俺の風邪……うつったりしてない………?」
速生の母は熱冷ましシートのフィルムを外して夕人の額に優しくペタッと乗せると、ふふふっと笑った。
「大丈夫大丈夫、バカは風邪ひかないんだから!あの子のことは気にしなくていいから、夕人くんは今はゆっくり休んで早く治さなきゃ、ね?」
夕人は赤らめた顔で小さく頷いた。
「……………あとで……“ありがとう”って伝えてください……」
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