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交わされるきみへの想い 1-3

  「なぁ、夕人ーーー…そのままでいいから、聞いて? 昨日、ごめんな。いろいろ、心配かけて…。 あの後、俺、病院まで母さんが迎えに来てくれてさ、帰りに図書館寄ってちゃんと借りた資料、取ってきたから………。また、美術部室、持っていくな」   ーーーそんなことが聞きたいんじゃない。 「あっそれで、……昨日の夜に、あの図書館の前で転けたおばあちゃんの家族が、うちに来てさ……お礼言いに。 おばあちゃんは入院してるらしいんだけど、腰が治ればすぐ退院できそうだって。 孫の女の子が一緒に来てたんだけど…すげぇ可愛い子で……『お兄ちゃん、ばぁばを助けてくれてありがとう!』とか言われてさぁ…マジ、感無量だよな……」 ーーーお前みたいなバカ親切なやつ,他に見たことねぇよ。感謝されるに決まってんだろ、それだけのこと、してんだよ。いつも………本当に……。 「はは……それで、それでさ………夕人…」 肝心な言葉が口からまったく出せず、戸惑い、俯く。 「ーーーー俺、こんな風になりたくなかったから黙ってたんだ。 けど…昨日俺が言ったこと、忘れてほしくないけど、でも、正直、夕人と気まずくなるくらいなら……それでもいい、無かったことにしてくれていい。 前みたいに、一緒にいられたら、それで十分だから。だからさ………」 「………………………」 ーーー忘れる? 無かったことにする?何だよ、それ……… ーーー意味わかんねぇし。 こんなに人のこと振り回して、俺の中を、俺の気持ちをこんなにもかき乱しといて、今更、そんな言い草あるかよーーー…? ーーー何なんだよ……   「なぁ、何か言えよ、夕人…………寝てんの? それとも……もう、俺のこと…….顔も見たくない………?」 夕人は覆い被さっていた布団をバサッ!と捲って勢いよく起き上がった。 「バカ!恥ずかしいんだよっ! 昨日の今日で……あんなこと言われたのに…どういう顔して会えばいいんだよ!?」 夕人は早口で捲し立てた後、はぁっ、はぁっ、と荒い呼吸で、速生の顔を見る。 まるで捨てられた子犬のような切ない目でこっちを見ている速生の表情に一瞬怯んだが、言いたいことはこんなものでは済まない。 「ていうかなぁ、矛盾しすぎなんだよっ! ……俺にどうしろって言うんだよ!? 昨日、あんなこと突然、俺に言っておいて、忘れろとか言うくらいなら、その程度の気持ちなんだったら、はじめから言うなよ!好きとか、そんなの……黙っとけよ!」 「なっ……忘れて欲しいわけないだろ!? そんなの……俺だって………っ」 夕人の言葉に、拳を握りしめて、俯く速生。 行き場のない、今にもはち切れそうな思いに、ぎゅっと目を瞑る。 速生の中で、何かが吹っ切れる音がした。

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