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交わされるきみへの想い 2-3
二人が登校すると、すぐに体育館で開会式が行われた。
校長先生の挨拶、簡単な注意事項などの説明が終わると、各自がクラスや部の出し物の持ち場へと向かう。
「夕人ぉ……そろそろ機嫌直せよ、……な?」
「………別に機嫌悪いわけじゃないし」
夕人は朝からずっと速生の顔を見られず、そっぽを向いたまま校舎内を歩く。
「でもさ、俺らがこんなギクシャクしてると…かえって怪しくない?周りに気付かれちゃうかもよ?
……俺たちが、この前キスしーー……むぐぅっ」
夕人は慌てて速生の口に手のひらを当てて塞いだ。
そして恥ずかしそうに、悔しそうに頬を赤くしたまま睨む。
「お前なぁ…声でかいんだよ。
まわり見てんの?こんだけ人いんのに……そういうこと言うのって…どんな神経してるわけ……?」
周りを気にしながら小声で話す夕人の、口元にやられた手を速生は優しくおろして夕人に一歩、近寄った。
ふふふ、と下心見え見えな表情で笑うと、屈んで耳元で囁く。
「………俺、別にいまここで大声で
“好きだー!”とか言えるぜ?
…いいの?言っても」
「ーーーバカ!ふざけんなっ!
……わ、わかったよ……!とりあえず、出来るだけ普通にするからっ、ちゃんと顔見て、話するから……。
だから、そういうの、やめろよな…
ーーーわかったな!?」
「はぁ〜〜〜い」
完全に速生のペースに嵌められている。
……悔しい。だけどそれ以上言い返せない自分にもムカつく。
夕人は大きく深呼吸をした。
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