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交わされるきみへの想い 2-6

「おい、玖賀」 ーーーー? 後ろから声をかけられ、振り向いたそこには…… 「あーーー……守江さん…!」 元市立第一高校バスケ部、速生の先輩の守江が立っていた。 「久しぶりだな。元気か?」 守江は黒のシャツにジーンズを履いた私服姿で…… 手にはなんとも不釣り合いな、ピンク、白,ミントグリーン色の丸いアイスが3段重ねられたトリプルアイスクリームが握られている。 「は、はぁ……元気っすよ。守江さん、今日はOB招待で来られたんですか? というか、それ……アイス、守江さんのですか?」 2年ぶりのバスケ部先輩との再会の感動よりも、目の前の正直言ってかなり守江に不釣り合いなアイスクリームが気になって仕方ない。 「ああ……そこで2年の生徒がアイスクリームの出店やってて。が買ってくれたんだよ。あいつが奢ってくれるなんて珍しい……。 どうせならトリプルにしなよ!とか言われてな」 「へ、へぇ…………」 “瀬戸”という名前に速生は一瞬反応したが、彼に対して夕人がえらく信頼して心を許しているように見えて嫉妬していたのも、もはや昔の話ーーー…。 夕人と気持ちが少しでも通えたと思えている今では、大して気にもならない。 「瀬戸さんーーー…も、来てるんすね。 ーーー…あれ、一緒じゃないんですか?」 速生は周りを見渡すが、それらしい人影は見当たらない。 「ん?あぁ……今、美術部室の作品展覧見に行ってるよ。それが、今日は、瀬戸だけじゃなくてのーー……」 言いかけた時、速生が…あっ!守江さん!と声をあげる。 「アイス,溶けてる!ほら!」 「げっ。だからこんなでかいのいらないって言ったんだよ。あいつーー…」 ポタポタとカラフルな甘い雫を地面に落とし溶け始めたアイスを、守江は口に含む。 その不釣り合いな姿に、速生は思わず笑いそうになる。 「守江さん、なんか変わってないっすね。ちょっと安心しました」 「あ?なんか上からだな、お前。 そういう玖賀は最近どうなんだよ? バスケ部主将(キャプテン)。」 はは……、まあ。上手くやってますよ。と世間話をするように笑う速生を見て、守江は真顔になり、続ける。 「お前さ、俺がいま行ってる大学、知ってるよな?ーーーーN」 「え?ああ……はい、もちろんです」 守江の切り出した話を耳にした途端,速生は一瞬で顔色を変えた。 「噂で聞いたんだが…玖賀、本当なのか? お前、N体大からの話を蹴っーーーー……」 「守江さん」 速生は守江の話を遮って、人差し指を自分の口の前で立てて“しーっ”のポーズをとった。 「俺ーーー…、その話、誰にもしてないんで。 すみません、黙っててください。 ーーーーお願いします」 「……………………」 在校時、1年間共に部活をしてきた中で今までに見せたことのない後輩のとても真剣な表情に、守江は、何も言えず黙った。

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