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交わされるきみへの想い 3-2
速生と出会えて、二人で過ごしてきた、これまでのかけがえのないこの日々を。
もう、きっと何の希望も持てないと諦めていた未来に、差し込んだ、一筋の光。
自分から捕まえようとはしなかった、手放そうともした。
それでも、ただただ無条件に……暖かく降り注ぐように優しく、癒して、包み込んでくれた。
生きる意味を、教えてくれた。
その速生と、離れてーー…
それで本当に、自分の未来を見据えて、進むことができるか?
わからない。
きっと、できない。
誰がわかる?
こんなこと、わかってくれる?
誰にも言えない。
ーーー…速生、本人にさえも。
別にわかってもらえなくてもいい。
自分がしたくてそうしてることだ。
理解してもらおうなんて、端から思っていない。
もし自分が速生の立場なら、”そんな理由で未来を決めてしまっていいのか?”と、叱るかもしれない。
ーーーだけど、いいんだ。
ーーー俺はただ、速生がそばで笑ってくれてたらそれだけでいい。
別に、絵なんて、どこでだって描ける。
ーーー速生がC大からスポーツ推薦の話をもらったと聞いた時は、本当に、心から嬉しかった。
速生の未来を、そばで応援できるなら…それ以上に欲しいものなんてない。
ーーーあれも、これも、すべて欲しい、叶えたいだなんて、おこがましいことは願わない。
ーーーただ、そばにいたいんだ。
速生のそばで、笑顔を見ていたい。
たくさん、話して笑い合って、時にはふれあって………。
ーーーずっと一緒にいたい。
そのためなら、何だって、諦められる。
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