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第5話

 そしてその二日後、蒼空の義父である山之内義明が発見され、拘束された。 山之内が慌てて現場アパートから出てきたところを、見かけた人が現れたのだ。  取り調べは三笠が担当することになった。初めて見た山之内は、ただの会社員には見えない。どこか“その筋”の人間のような雰囲気を醸している。 「あなたが奥さんを刺したんですか?」 「あぁ、そうだよ。俺と別れたいって言うから、口論になったんだ。それでカッとなり刺しちまったんだよ。俺から離れられるわけないのにな、バカな女だ」  吐き捨てるような物言い。全く反省の色は見えない。むしろ、被害者を侮辱するようなことまで言っている。  罪は早々と認めたが、愛して一緒になったはずの妻を殺した罪の意識はないのだろうか。 『罪悪感まるでなし、か……』 「息子さんの蒼空くんが、あなたが仕事以外にも何かしてるようだと言っていました」  その言葉に、山之内は顔を顰(しか)めた。 「それがどうした」 「いや、何をしているのかと少し気になっただけです」 「あまり、好奇心は持たない方がいいな。まぁ、知りたきゃ自分で調べろ」  男の吐き捨てるような物言いに、三笠は内心溜息を吐いた。目の前の男が、蒼空やその母親に暴行を加えていたというのは信ぴょう性がありそうだ。 「分かりました。そうさせてもらいます」  三笠は山之内の言葉を軽くかわすことにした。山之内はその後、蒼空の母親を殺害したとして正式に逮捕となった。

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