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第28話
食後に、蒼空が落ち着かない様子で切り出した。
「三笠さん、話があるんですけど」
「え?何?」
改まった様子の蒼空に、三笠は少し緊張しながらも意識を向けた。
「俺、三笠さんのことが好きみたいです」
「……え?つ、つまり……」
「そういう意味で、好きです……」
そう言うと、蒼空は俯いてしまった。きっと、一世一代の告白だったのだろう。
「前から、三笠さんのことはいいなと思ってました。昨日あんな目に遭って、頭に浮かんだのは三笠さんの顔だったんです。助けに来てくれて、とても嬉しかった」
「蒼空くん……」
「警察の人だから、何か事件が起きたら駆け付けるのは当然だと分かってます。俺じゃなくても……。でも、俺には救世主みたいに見えたんです」
「きゅ、救世主?」
三笠が目を丸くすると、蒼空は照れ臭そうに頷いた。
「三笠さんは、前にも俺を救ってくれましたから」
蒼空の目から、真摯な気持ちが伝わってくる。
「こんな俺でも、まだ好きでいてくれるなら、付き合ってください」
「え、本当に?」
思いがけない告白に、三笠は戸惑ってしまった。
「はい」
蒼空は顔を盛大に赤くして頷く。そんな彼の反応が可愛くて仕方ない。
「嬉しい……こんなに嬉しいこと、他にないよ……」
三笠は食卓から席を立ち、蒼空の後ろに回った。そして、後ろから蒼空を抱きしめた。
「み、三笠さん……」
蒼空がピクリと反応したのが分かった。
「愛してる……。君と、ずっと一緒にいたい」
三笠の腕に、蒼空は手をかけた。
「お、俺も年をとっていきたいです」
蒼空が後ろを振り返ったので、三笠はキスをした。
一度目は軽いものだったが、再度唇を重ねる。二度目は蒼空も立ち上がり、濃厚に求め合った。
「ん……俺、溶けちゃいそう……」
「いいよ……溶ける君が見たい」
そう囁くと、三笠は蒼空の頭に両手を添えて口付けを深める。開いた口の少しの隙間から舌をねじ込ませ、蒼空のそれを見つけ絡ませた。
「んっ……ふっ……」
蒼空の息遣いが荒くなっているのが分かる。
しばらく貪り合っていると、目をトロンとさせる蒼空と目が合った。それを機に、二人はどちらからともなく唇を離した。
「前にさ、君が酔って帰ってきた時、俺にキスしたの覚えてる?」
それを聞いた蒼空は、大いに目を見開いた。
「え、え?そうなんですか?」
「うん。ほら、須藤と飲みに行ったとかで、かなりぐでんぐでんになって帰ってきただろ」
「はい。飲みに行ったのは覚えてますけど、その後のこと記憶になくて……」
「だから、俺も言わなかったんだ」
蒼空は“しまった”というような顔を見せた。
「すみません……俺、なんてこと……」
「謝んないでよ。あの時、俺嬉しかったんだ。もしかしたら、君の本心なんじゃないかって勝手に思ったり、ね」
そんなわけはないだろうけど、そんな風に思いたかったのだ。
「三笠さん……」
三笠は改めて蒼空を抱きしめた。宝物を扱うように。
「ねぇ、俺もう耐えらんないわ。君が欲しい」
「俺も、三笠さんに抱いて欲しい」
そんなことを言われ、三笠は蒼空の顔を覗き見た。
「いいの?歯止めきかなくなるかもよ?」
「はい。三笠さんなら大丈夫です。三笠さんにしか、触れられたくありません」
三笠はますます抑えていたものが溢れそうになる。
「嬉しい。愛してるよ」
唇を重ね合い、お互いを貪り合った。そして蒼空の服の中に手を差し込み、
背中を弄る。
蒼空の背中はスベスベで触り心地が良い。高い体温が、彼の昂揚の度合いを示しているだろう。
「なぁ……そろそろさ、ベッド行こう?」
耳元で囁くと、蒼空はピクリと反応を示した。
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