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第31話

 蒼空が中学生になった春のある日、彼には新しい父親ができた。少し強面なところもあるが、山之内は、母親にも蒼空にも優しかった。確かに蒼空の父親になろうとしてくれていた。しかし、それも最初のうちだけだった。  半年後の夏の終わり頃から、山之内の様子に異変が見られるようになったのだ。 山之内は、蒼空の母親に手を上げるようになった。 それは徐々にエスカレートしていき、日常的に山之内の怒鳴り声や大きな物音が聞こえるようになる。 アパート住まいだから、きっと隣の世帯などにも聞こえてしまっているだろう。  なぜこんなことをするのか、蒼空には分からなかった。 母親を守りたい蒼空は、山之内を止めようとした。 「止めてくれ!何でこんなことを……」  大の大人に、力で敵うわけがない。蒼空は山之内に払い除けられ、吹っ飛んだ。 「いって……」  壁に叩きつけられた蒼空の唇には血が滲んでいた。 「何だよ。お前まで歯向かうのか?」  氷のように冷たい目で自分を見下ろす山之内に、蒼空は背筋が凍るような気がした。 『この人は……やっぱり父親じゃない』  そう思うと、涙が出た。戸籍上は父親になったけれど、やはり自分の父親ではないことが認識されたような気がする。 「お前は俺の言うこと聞いてりゃいいんだよ。黙って引っ込んでろ」  山之内は蒼空を足蹴にした。 『母さんは、何でこんな男と再婚したんだ……』そう思うと自然と涙が出る。これ以上歯向かったら、自分がやられてしまう。  母親を助けたいが、どうにもできない自分が悔しい。  その後、山之内は蒼空にも暴力を振るうようになった。 なるべく山之内に会わないようにしたが、母親のことも気になった。  気に食わないことがあれば平手が飛んでくるし、蹴られることも日常的だ。  母親に、山之内と別れろと何度も言った。しかし、母親は「あの人には良い面があるのよ」と言って憚らない。 母親は完全に、山之内に支配されてしまっている。  事態は、さらに深刻になっていった。 「おい。しゃぶれ」  ある日、山之内は母親を外出させ、その隙に蒼空を服從させた。  立ったままズボンと下着をおろすと、その前に蒼空を膝まづかせる。  義父の局部を目の前にして、蒼空は顔を背けた。 すると、山之内の手で顔を正面に戻す。 「ホラ、さっさとしろ」  苛ついた様子で、山之内は蒼空の口に当て中へとねじ込んできた。 「んっ……うぐっ……」  初めてブチ込まれたそれに、蒼空は抵抗感に加えて息苦しさを感じた。 喉の最奥まで突き入れられ、えづきそうになる。けれど、口内を圧迫されているためそれもできない。 山之内は容赦なく腰を動かし始める。 『苦しい……嫌だ……!誰か助けて』  蒼空がそう叫んでも、叶うわけがなかった。  逃れようと思っても、頭を手でホールドされて無理だ。 「しっかりとしゃぶれよ。溜まってんだよ俺」  目線を上に向けると、山之内が冷酷さと熱を帯びた目で見下ろしてきた。  自身の意思とは裏腹に、蒼空は黙々とそれをしゃぶり続ける。まるで感情のない人形かロボットのように。 蒼空の口内で硬さを増した山之内の中心は、精をはき出した。  その後、山之内はますます獣へと豹変していった。ある時、彼は蒼空を襲おうとしたのだ。 「やっ、やめてください!」  ジタバタと暴れて蒼空が抗う。山之内に組み敷かれ、肌を露わにされて体を舐められた。 「うっせーな。ジッとしてろ。早くしねぇとアイツが帰ってきちまうだろ」  アイツとは、蒼空の母親のことだ。母親も仕事をするようになり、彼女のいない隙に蒼空を狙ったのだった。 「嫌だ!俺は嫌だ!離せ!」  山之内を退けようとするも、やはり敵わない。 「お前は言うこと聞いてりゃいいんだ。可愛がってやるからさ、大人しくしろよな」  耳元で囁かれ、蒼空は肌が粟立つのを感じた。 「綺麗な肌してんじゃねぇか。美味そうだな、ヘヘ」  山之内はヨダレでも垂らしそうな勢いだ。  蒼空の胸の蕾などを弄ったり吸ってみたりして堪能した後、山之内の手が蒼空の下腹部に伸びた。 「ここはどうなってんの?」  蒼空の中心を、山之内が弄った。そして、そこに集中したいのか体勢を立て直して蒼空のズボンに手をかけベルトなどを外しチャックを下した。 山之内の手は蒼空の中心を撫でたり軽く揉んでみたりする。 「なかなか感触はいいな。どれ、見せてみろ」  「やめろ!」と言って蒼空は止めようとしたが、やはり手で払い除けられた。ズボンが下ろされて下着が露わになる。  山之内は蒼空の下着に手をかけると、下着に収まっていたものを引き出した。 「なんだ、もう濡れてんじゃねぇか。実は嬉しがってんじゃねぇのか?あぁ?」  そう言うと、山之内は可笑しそうに笑う。  蒼空の先端からは、先走りの蜜が濡らしていたのだ。嫌悪感しかないのに、身体の反応は止められないのか。 「うぅ……」  羞恥心に、蒼空は顔を背けた。  そして山之内は、蒼空のものを手で包み上下に扱く。 「あっ、あぁっ……止め……て……」  蒼空が手で山之内を制止させようとする。  気持ち悪いと思いながらも感じてしまっている面に、パニックになりそうだ。 「美味そうだな」  ニヤリと笑い、山之内は蒼空の性器に口をつけた。 その一瞬だけでも、蒼空は全身で戦慄する。しかし、それとは別に灯った燃える火にも微かに気付く。 『俺は……こんな人の手で感じているのか……』  心とは裏腹な体の反応に、蒼空の目からじわりと涙が溢れる。 「なんだ、泣くほどに気持ちいいのかぁ?」  ニタニタと笑う山之内は、蒼空のモノを口に含んだ。それは喉の奥まで進んでいき、山之内は口を上下させていく。  蒼空も抵抗を試みるが、かえって強くぶたれてしまった。痛い。勢いで唇を噛んでしまったらしく、血が滲んだのが鉄のような味で分かる。  それから山之内は、無抵抗になった蒼空の秘密の孔を指で無理矢理押し広げ、そこに自身の欲望を突っ込んだ。 「い……痛い……」  悲壮な気持ちで涙を流す蒼空。  そういえば、なぜ中を貫く男はなぜ自分をこうやって虐げるのだろうと思った。そうだ。別に愛されているわけではない。きっと、欲を手っ取り早く放出させる道具にされているだけだ。じゃあ、なぜそれが自分なのか蒼空は不思議だった。 まだ中学生の自分だが、母親にはこんなことをしないのだろうかとも思う。 「泣くんじゃねぇ!」  叫んだ山之内は、容赦なく律動を繰り返した。 「あっ…あぁっ……」  痛い。痛くて堪らない。出し入れされるたびに声が漏れる。  初めて義父に犯されてから、蒼空は組み敷かれ続けた。 蒼空には他に行くところもなく、耐えるしかなかった。

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