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第46話
その夜、蒼空が三笠の家にやってきた。過去には同居していた二人だが、同じ署で働くようになってからはバレると厄介なので、一緒には暮らせていないのだ。二人は、互いの家を行き来しながら愛を育んできた。
「コンビ組むなんて……どうしよう……」
ソファーに座る蒼空が、クッションを抱えて溜息を吐く。
「驚いたよな。まぁ、いつか来るかもとは思ってたけど……」
「俺、バレない自信ないです」
蒼空は相当に危惧しているようだ。
『これまでバレずにきたんだから、今まで通りで問題ないんじゃないかな』
そうは言ったが、隠しておくのは蒼空もしんどいのかもしれない。
三笠自身も、関係を職場でオープンにできれば良いのにと思うことがある。
もしくは、どちらかが別の署に移ることも考えたが、そこまでする必要はないと二人で結論を出した。
「そうですね。三笠さんといつも一緒にいられるのは嬉しいですし、これからも一緒にいるために、頑張ります」
「まぁ、バレたらその時だしね」
三笠としても、蒼空がいれば後はどうとでもなると少し感じた。
「ね、今晩はデリバリーでもいい?」
「いいですよ。何にしますか?」
「気になってる中華屋があってさ、一度食べてみたいんだよね」
「あ、それ賛成です!麻婆豆腐食べたいかも」
「じゃ、注文するね」
こうした何気ない夜も、二人にとってかけがえのない時間だ。
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