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第3話

中学時代、 周りから見たら親友に見えたであろうオレたちでも、 有名な進学校へ進んだ蓮ちゃんと、 とりあえず受かった末端の高校へ入学したオレではきっと、 そこからはもうなかなか会えなくなるのが普通だろう。 けれども高校に上がってからも蓮ちゃんは、 週末になるとオレの実家に遊びにやってきた。 そうしてそれは お互い独り暮らしを始めた大学生になっても変わらず続いて、 社会人になって三年が過ぎた今でも 相変わらず続いている。 いまでは蓮ちゃんは決まって金曜の夜の9時ごろ、 当たり前みたいに連絡もなしにやって来て、 今夜のように、玄関のチャイムを鳴らすのだ。 いつでも ビールの入ったコンビニ袋をぶらさげて。 今カノにもらった靴を履いて。 元カノにもらったネクタイをして。 そうして、 オレの作った飯を食べて酒を飲んで オレが敷いた布団に寝転がって ココに泊まっていく。 次の土曜日には 朝とも昼とも言えない曖昧な時間に オレの作ったなんてことない料理を二人して食べてから、 ほとんどの場合、 午前中が終わるころにはこの部屋を出ていく。 それは彼女に会うために。 オレはそんな蓮ちゃんを見送ったあと、 今度は自分も出かけていく。 それは・・・ オレも彼女に会うために・・・ 気づけばもうずっとずっと、 そんな週末を繰り返しているのだった。 ☆ 毎週末 約束もなしにこの部屋に現れて、 いつものやり方で 蓮ちゃんの肌が少しずつあらわになる その一連の流れを、 毎回、 ずいぶんとヨコシマな気持ちで見つめてしまうオレは、 蓮ちゃんの家にはめったに行かない。 事務職のオレはほとんどの場合、定時で上がる。 打って変わって 商社で働くエリートサラリーマンである蓮ちゃんは、 ほとんど毎日、残業しているようだった。 長く友達をしていても、 毎週ここで一晩を過ごしていても、 ココに来る金曜日以外の蓮ちゃんを オレはよく知らない。 オレの知ってる蓮ちゃんは 頭が良くてリーダー気質で 仕事ができて彼女持ちで、 お刺身とカクテキとザーサイが好きで、 やたらとスーツが似合っていて、 家事を全くやらないっていうことくらいだ。 そして、オレにとってはもう、それで十分だった。

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