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第4話
できれば蓮ちゃんの日常を
オレはあまり知りたくはない。
だってそんなこと知ったところで
オレの日常は変わらないし、
なにより
発展性のある未来にはもうとう、繋がったりしないから。
彼女がいながら約束もなく、
金曜の夜にはほとんど必ずココにやってくる
蓮ちゃんとの距離間を、
どうにかこうにか
「友達」の枠から出ないようにするために・・・
オレはどうしたって
自ら蓮ちゃんに近づくことだけは、
避けなければいけないのだ。
ビールの缶を開ける蓮ちゃんの、
キレイな筋肉の筋がうっすらうつる、
そのたくましい腕を
視線が勝手に追いかけてしまう。
「・・・なんで来るの?」
無意識に口から出てきてしまった言葉に
「なんでそんなこと聞くの?」
ほとんど同時に質問に質問で返されて、
オレはドギマギして視線が泳いだ。
それはまるで、
その質問をするオレがおかしいみたいだから。
「たっ・・たとえばもしかしたら、
オレがいないかもとか思わない?」
「それはあり得ねぇ」
これまた瞬時に言い切るから、
やっぱりオレはドギマギする。
「っ・・なんで?」
「だっていままで、お前がいなかったこと、ねぇもん」
なんだかすごくゆったりと放つ、
確信に満ちたその言い方と言葉に、思わず絶句する。
言葉に詰まったオレに蓮ちゃんは
どこか意地わるそうな、
やんちゃで得意げな顔に表情が変わると、
オレはもっとドギマギした。
「はい、乾杯。」
フタを外された缶ビールを差し出されると、
することは一つしかない。
「・・・カンパイ」
よく知ってるその鈍い音は、
なんだかとても心地が良くてイヤになる。
恥ずかしさと気まずさと、
なんだか納得いかないすべてを納得させようと、
そのまま一気に半分ほどを飲み干すと、
喉を通るその液体は
不思議とやたらと美味しく感じた。
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