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第17話
友達が結婚するのはどこか嬉しくて寂しい。
それはきっと、
オレが一生かかっても手に入れられないモノだから。
そして、
どうしたって蓮ちゃんの
その晴れの姿を意識しちゃうから。
もちろん、どっちかといえば
「蓮ちゃん」のほうがデカい理由だ。
とはいっても、
27ともなれば結婚した友達は他にもいるし、
だから少しは慣れた。
いつものように缶のままで乾杯をして、
ぐびぐびっとビールを飲む。
オレにとっては幸いなことに、
オレが蓮ちゃんと一緒に式に招待されたとき、
互いに彼女と同席で呼ばれたことがない。
二人してわりとすぐに彼女が変わるおかげで、
いまのところ学生時代の知り合いに、
互いの彼女の知り合いがいないのだ。
正直、オレにとってそれはホッとする。
だって、それがたとえ招待席だったとしても、
蓮ちゃんと彼女が正装して仲良く笑い合って、
自分たちの未来の挙式を幸せそうに意識してる姿を
濁りまくった気持ちで見つめることは
避けられるなら避けたいから。
いつかは来る、蓮ちゃんの結婚。
いつかは覚悟を決めなきゃと思う。
いつかがいつくるのかは、
見当もつかなけど。
「お前はしねーの?」
「ぇえ?」
会話の流れ上、
決しておかしくもなんともない蓮ちゃんの一言に、
自分が結婚するなんて考えたこともないオレは、
ずいぶん不自然に驚いてしまった。
一瞬で全身がズキンと音を立て、
同時にオレ自身が一回膨らんでそして縮んだような、
妙な感覚がする。
分かりやすく動揺して、
ゴクリと喉が鳴ってさらに焦って、視線が泳いだ。
「・・・っしないよっ」
「なんで?」
「な・・なんでってそんなの・・・考えたこともないよ」
こういうの。
突然雷に打たれたみたいな衝撃を、
きっといままでにも経験してきてると思うけど、
こういうときにどうやって対処したらいいのかを毎回わからない。
ガツンと衝撃があったそのすぐあとは、
緊張が一気に全身を走って、
喉がカラカラになった。
「っ・・まだ付き合い短いし」
ドギマギしてる自分を
どうにかしようと手元のビールをぐびっと飲む。
「今回は半年以上、もってるだろ」
「そんなの・・・そうだっけ?」
「お前それ、ぜってぇ彼女に言うなよ」
女は記念日を大事にしてんだぞと言われて、
心なしかムスッとする。
どうだっていい彼女のことを、
オレはどうしたって覚えてられない。
確かに半年以上付き合いが続いたヒトは
かなり少ない。
そして、それは当然だ。
付き合いの長さも相手の名前もすぐに忘れるほどに、
正直、彼女たちの存在は
オレの本当の人生にとっては
どうだっていいことなのだから。
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