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第21話

いまさら酒が全身を周っていることに気が付いて、 ごくりと唾をのんだ。 オレだってかなり酔っているのだ。 友達が結婚しためでたい土曜のその夜に、 オレは大好きな男といる。 なんで蓮ちゃんは彼女といないんだろう。 なんでオレなんかといてくれるんだろう。 お日柄の良いらしいこんな夜に、 オレたちがこうして二人でいることに、 きっと意味なんてないってわかっている。 それでも、ナニカがあってほしい気持ちが、 あるはずもないそのナニカを探してしまう。 蓮ちゃんの・・・ 恋愛って意味での特別になりたい・・・ そんな気持ちが全身を包んで、 そしてもちろん そんなものは見つからない。 そうして、 見つからなくても蓮ちゃんが好きだ。 好きすぎて 蓮ちゃんの寝顔から視線を逸らせない。 こんな夜に、こんな風に一緒にいるなんて、 なんだかそわそわする。 そしてなんだか・・・ムラムラする。 「はぁ・・・」 身体のイケナイ場所にネツが集まってくるのを感じて、 瞼を閉じると大きく息を吐く。 立ち上がって上掛けを持ってくると、 あまり蓮ちゃんを見ないようにしてそれをかけてやると 風呂場へ逃げた。 ☆ 風呂から上がって蓮ちゃんを見れば、 その顔に、その姿勢に、 思わず独り、くすりと笑う。 さっきよりもヘンな格好に体勢が崩れて、 明らかに寝苦しそうな顔をしてる。 上品な顔だちの蓮ちゃんは、 こんなにキレイな顔をしているくせに、寝相が悪くていびきだってかく。 それでもこうしてシャツをはだけて、 口を半分開けて眉間にしわを寄せてる姿は なかなか見られない光景だ。 そうして、そんな姿はもしかしなくても、 オレにとっては世界で一番、愛しく映る。 大学生のころですら、 この人は飲みすぎて羽目を外すってことは滅多になかった。 だからこんな姿を見れるのはなかなかなない。 「蓮ちゃんそのまま寝るの?風呂は?」 けっこう大きな声で呼びかけても、 閉じた瞼は開かなくて返事もない。 心なしか眉がピクリと動いて 余計に難しそうな顔になった気がするけれど。 シャツを着たままでベルトも締めたままで、 もしかしたら寝苦しいのかもしれない。 「蓮ちゃん。」 もう一度声をかける。 相変わらず返事はなくて、 どうしたものかとすごく迷ったけれど、 かけてた上掛けをいったん外すと、 一呼吸おいてからベルトに手をかけた。

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