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第47話
「オレ、蓮ちゃんが好きなの。」
言った瞬間、オレはどこを見てただろう。
蓮ちゃんじゃないってことだけはわかる。
「友達って意味じゃないよ。 わかってると思うけど。」
あえて付け加えた。
ややこしくしたくなかったし、
なにより
いい加減、
自分の気持ちをごまかすのはやめたかったから。
一生、誰にも言うつもりがなかったその言葉を、
オレはけっこうあっさり言って、そうしてすごく・・・落ち込んだ。
一瞬だけすっきりして、あっという間に目の前が真っ暗になる。
だってもう「すべて」「終わった」から。
オレの10年以上の「想い」はあっけなく、
・・・とてもあっけなく・・・終わってしまったのだ。
「たぶん俺もそうだと思う。」
「は?」
思わず蓮ちゃんを見た。
見つめる先の蓮ちゃんはこちらを向いていなくて、
どこかばつが悪そうな、居心地が悪そうな頼りない顔をして、
視線はオレから外れてた。
そうして、そんな顔にまでオレはときめく。
言いようのない甘くて苦いようなカンカクが、オレを包んだ。
「俺も同じだと思う。」
なんというか、その言葉はどこかギリギリって感じだった。
オレとおんなじ・・・ギリギリって感じ。
「・・・蓮ちゃんも・・・友達って意味ではなくてオレが好きなの?」
聞くしかなかった。
ハッキリと。
確かめる以外、いま出来ることはないって思う。
「たぶん」
「たぶん・・・」
蓮ちゃんの言葉を頭ん中で繰り返す。
たぶんたぶんたぶん・・・
また、頭ん中がグルグルする。
「たぶん」だななんてそれは・・・
「わからない」と同じなんじゃないだろうか。
「近づいていい?」
「え?」
たぶんと言った蓮ちゃんは気づけばこちらを向いている。
そうしてその目は迷いながらもキラリと力強くて真っすぐで、
オレは思わずドキリとした。
「っ・・そんなこと言われたら緊張するっ」
「まぁ・・でももう言っちゃったし。」
なんだか知らない人みたいだ。
そうして、良いとも悪いとも言わないオレにかまわず、
蓮ちゃんはオレに近づいた。
ドクドク脈打つカラダは固まって、オレは成す術がない。
近づいてくるのをただその場で待つしかできなくて、
こっちに来る蓮ちゃんの顏を見れない。
すぐそこに蓮ちゃんがやってきて、
いったいどうなるんだろうと身体はもっと固まる。
息をすることさえ緊張した。
「蓮ちゃ」
・・・んを言ったときにはもう、身体が蓮ちゃんの腕の中だった。
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