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第51話

わかっていても、 やたらと早く起きてしまったいま、やることなんてない。 寝ている蓮ちゃんを起こしたくはないし、 12月の朝は寒いのだ。 今週、新しく買ったインスタントコーヒーを淹れてソファに座る。 アツいコーヒーを一口飲むと、寝ている蓮ちゃんを見つめた。 ・・正確には、蓮ちゃんを包んでる布団を見つめた。 昨日。 キスをして・・・離れて。 何度もそれを繰り返すともう一度、お互いぎゅうっと抱き合った。 すべては自然の流れの中での出来事だった。 もう言葉で何かを言う必要を感じなくて、 そこからまたしばらく抱き合ったままでいた。 相変わらずドキドキしていたけれど、どこかホッともしていた。 お互い、何も言わなかった。 言わなくてよかった。 言葉じゃない沈黙で、 オレたちはちゃんと会話をしていたような気がする。 ぎこちなく離れて、会話のないままオレは いまだコートすら脱がない蓮ちゃんを風呂場に追いやった。 そうして、料理をしてる間に二度、 蓮ちゃんの電話が震えているのに気づいてた。 蓮ちゃんがお風呂から上がって二人して夕飯を食べてる間にも一度、 携帯が震えた。 蓮ちゃんはそれを無視するから、オレも同じようにする。 そうして、まるでいつものように蓮ちゃんはこの部屋に泊まった。 二人ともドキドキしてることをわかっていて、 二人していつも通りを装った。 とはいってもビールは3本しかなかったし、 カクテキもザーサイもなかったから とても気持ちが落ち着かなくて、 いつもよりずっと早くベッドに入った。 「7時・・・」 ちらっと時計を見たあと、エアコンのスイッチを入れた。 ソファに座ってコーヒーの湯気にふぅっと息をかける。 蓮ちゃんが起きたらどうなるだろうと考える。 昨晩同様、ギクシャクしながらいつも通りを装うのだろうか。 明らかにいつもとは違っているというのに。 気持ちが通じ合って嬉しい反面、 こんなことになってしまってどうしようとまた思う。 気持ちが通いあったらすべては解決する・・・というわけではなかった。 ぶっちゃけここからどうなるのか想像もつかなくて、 天を仰いだ格好でなんとなく瞼を閉じる。 そのまま・・・オレは知らない間に眠気に襲われていった・・・

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