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第60話
ぶっちゃけ、
いままで独りでイカガワシイその行為に更けるとき、
オレの膨らんだそんなトコロを弄ってくれてた蓮ちゃんは、
あくまでもそんなトコロを扱いてくれてたってだけだった。
中学で蓮ちゃんへの恋心に気づいてしまったそのときから、
男同士で使うらしい
ー―なんなら男同士でなくてもー―
その場所にはすでに興味は持っていたし、
若かりしいつか、ソコへ手を伸ばしてみたことだってある。
でも怖すぎて、一線を越える勇気は持てない。
痛いらしいし。
そもそも「出す場所」だし。
「挿れる場所」じゃないし。
独りではとても無理だった。
いままで付き合ってきた彼女たちは
そこまでアブノーマルなことに興味を持ってる子もいなかったおかげで、
いまだその場所はバージンを保ってる。
自分の指すらも・・という意味で。
「杏野はどうしたい?」
「どうしたいって・・・」
「お前の希望は? ぶっちゃけ俺に突っ込みたい?」
「なんとも・・・そのまんまの言い方すんね。」
蓮ちゃんらしい、いっそ清々しいほどだ。
「オレの希望・・・」
・・・オレの希望はどうなんだろう。
そもそもオレは、
そんなトコロを蓮ちゃんに晒せるのだろうか。
そうして、もしもそれを良しとしたって
ー―そもそもオレは蓮ちゃんに突っ込める気はしてない―ー
だとしたら蓮ちゃんは、
そんなトコロを触れるんだろうか・・・とか・・
それから
これが一番厄介だけど、
もしもオレがそっち側だとして、独りで・・・
準備が出来るのか・・・なんてことも。
「よくわかんない。ただ・・・」
「ただ?」
「オレは蓮ちゃんに触りたいし触って欲しい。
蓮ちゃんのしたいことをして欲しいし、 されたい。
そんでもしも上手くいかなかったら・・・」
希望はわからなくてもひとつだけ、確かにわかってること。
「それでも後悔しないと思う。」
これだけは言い切れる。
たとえ上手くいかなくて、
もう友達にもなれなくても。
今日を最後にこの部屋に、
もう二度と蓮ちゃんが来なくなるとしても。
「オレは後悔しない。」
「俺もしないよ。」
サラリと蓮ちゃんは言った。
至近距離で見つめるその瞳を見つめて、
ああもういいやと思った。
即答する蓮ちゃんのその一言だけでもう。
「一回で上手くいかなくても、いろいろ手を尽くしてみるってのは?」
蓮ちゃんらしいなと思う。
すごく蓮ちゃんらしい。
これぞオレの好きな蓮ちゃん。
「うん。そうだね。」
ふぅっと息を吐くと視線を交わした。
「ぶっちゃけ、どっちがどうとか、
突っ込みたいかどうかなんてよくわかんない。」
「ん。だな。俺もよくわかんねぇ。」
どこかホッとしてそのまま蓮ちゃんに抱き着いた。
「でも答えを出さなきゃね。」
「シャワーでも浴びながら決めるってのは?」
「一緒に入るの?」
「やなの?」
「やだよ。」
「なんで?」
「なんでって・・・恥ずかしいじゃん。」
「いまさら?」
「なんだよ。蓮ちゃん、一緒に浴びたいの?」
「時間短縮。」
「は?そこで時間短縮する必要がわかんないよ。」
「もう離れていたくねぇんだよ。」
その一言で、一気に顔が、
なんなら全身が赤くなった気がする。
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