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第69話

「杏野・・」 呼ばれてゆっくりと視線を蓮ちゃんに向ける。 目の前には汗がにじんだ、 妙にヤらしい顔した蓮ちゃんがいた。 それはオトコの顔。 初めて見る、知らない蓮ちゃん・・ 「はっ・・っ・・」 息をするだけで精一杯って感じ。 言葉が出ない。 そうして、 ああいま、 オレのそんなトコロに 蓮ちゃんが完ぺきにはいってんだなってことだけがわかった。 「へーき?」 「ん・・思ってる以上にへーき・・・」 平気のレベルはいろいろあるから 判断は難しいところなんだけど、 どうにか耐えられるって意味では平気だった。 ぶっちゃけ、オレの身体は いつもとはちがった違和感を与えまくってる、 その異物を取り除こうと、 せっかく挿いってくれた蓮ちゃんを 外へ押し出したがってるのがわかったけれど、 どうにかこうにか、息を吐くことで 繋がった状態を保とうと耐えた。 「いてぇ?」 「・・っわかんない。すごぃぎゅうぎゅうって感じ・・」 余分なスペースが一切ない、 その狭いナカは蓮ちゃんだけでギチギチになっている。 とにかく異物感って感じ。 詰まってるって感じ。 息をするたび・・・いや、しなくても、 なにか、めちゃくちゃ太いものが ナカに挿いっている・・・っていう圧迫感だけが 全身をつつむ。 そして、 そんな余裕のない状況でも、 腕は自然と蓮ちゃんを抱きしめた。 よけいに脚を開くかたちになって、 もっと蓮ちゃんをオクに感じることになっても、 蓮ちゃんが乗っかってくるその重みは めちゃくちゃ愛おしいものだった。 苦しくて、恥ずかしくて、 それでも・・・ 幸せだって思った。 うっすら瞼を開けて、蓮ちゃんを見ると 二人して笑った。 笑うと、 繋がるナカの蓮ちゃんを余計に感じて、 顔は歪んで変な声も出た。 そうして、 今度は二人同時に息を漏らす。 「なんとかなったかな・・」 なんとかなっていて欲しくてそう言った。 「まぁ第一段階クリアって感じ? でも肝心なことは、杏野がちゃんと気持ちがいいかってこと。」 言われたとたん、ナカがドクンと動いた。 「っ・・・」 「・・もしかして気持ちぃ?」 「・・ぶっちゃけ、ホントわかんない。ギチギチって感じ・・」 そうであって欲しい希望はあっても、いまわかるのはそれだけ。 苦しいってことだけ。 「俺はもう気持ちいぃ・・」 アツい息を漏らしながら言われるとまた、ドクンとその入り口が動く。 蓮ちゃんの「気持ちぃ」って言葉に オレの身体が勝手に反応してるのだと気づくとまた、 入り口はドクンとした。 「ふぅ・・・そんなことされたら動くよ。」 「・・まぁ・・次はそうするのがふつーでしょ。」 股を開いた格好で、 蓮ちゃんを引き寄せる。 「余裕だな。」 「言葉だけね。」 素直に言えば、蓮ちゃんがふわりと笑ったのがわかった。 「出来るだけゆっくりする。」 「そんなこと、出来るの?」 「・・・努力はする。」 そして、蓮ちゃんも正直だった。 これはとても異常なことだ。 こんなことは普通じゃない。 だってそんなトコロにあんなモノを突っ込んでいるのだ。 それなのに、 股を開いてしてるその会話はあまりにも日常の延長だった。 そうして、だからこそ蓮ちゃんは特別だって思う。 こんな正常じゃないこと、 こんな・・・ヤラしくて恥ずかしくて気持ちよくて特別なコトを・・・ まるで日常みたいに出来る相手なのだから。

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