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第70話
「杏野が好き。」
突然言われてはぁ・・っと息が漏れた。
「オレも蓮ちゃんが大好き・・」
蓮ちゃんの手のひらが
額に張り付く、汗で濡れた髪を丁寧によけて、
おでこにキスをしてくれる。
「はぁ・・」
こんな扱いは明らかに・・・
友達なんかじゃないっていう証・・・
だからオレも
目の前に見える蓮ちゃんの鎖骨に、
少し強めに唇を押し付けた。
オレの身体は自然と脚を上げるようにすると、
勝手に蓮ちゃんを迎え入れる準備をする。
ここからまた、言葉のない時間が始まるのだ。
☆
この部屋の天井はこんなだったんだなと思う。
いつも見ているはずなのに、
それはあまりに無意識だったから、
見ているようでまったく、見ていなかったのだ。
「水飲む?」
「飲みたい・・けど動けない。」
オレは自分のベッドの上で、裸で、大の字でいる。
これはめちゃくちゃ珍しいことだ。
蓮ちゃんはパンツをはいていて、
清々しい顔して上からオレを見た。
ちなみに。
裸で寝てはいても、
オレもソコはちゃんとかけぶとんで隠れているけど。
時計を見れば、随分と長く抱き合っていたのに、
終わってしまえばあっという間だった。
そうしていま、身体のどこも動かしたくはない。
ぶっちゃけ、ずいぶんとあられもない声をあげながら、
身体を好き勝手に揺さぶられてたって記憶はある。
けれど
すべてはあいまいで
思い出すのははじめて感じた
「受け入れる気持ちよさ」みたいなものだけだ。
蓮ちゃんがオレのナカからいなくなってしばらく経つというのに、
ソコはいまだ、
蓮ちゃんがはいっているみたいに異物感がすごくて、
狭いソコはときおり、いまだに勝手に収縮をくりかえしてる。
「はぁ・・」
信じられないことにまた、ネツが集まってしまいそうで、
それを逃がそうと息を吐いた。
「どっかいてぇ?」
「どこかわかんないけどいてぇ。」
たぶん腰・・・いや、もしかしたら下半身ぜんぶかも。
わからない。
全身かもしれない。
でもそんなことはどうだってよかった。
蓮ちゃんの顔が近づいてくる。
自然と目を閉じてキスをする。
すると、口のナカに
蓮ちゃんの唇伝いに、冷たい液体が喉を通った。
「まだ飲む?」
「・・ぅん」
キスがしてほしくて・・・
そんなことを言った。
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