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幸せな記念日⑦

「ま、待って。律仁さん……。俺もしたいです……」  膝をすり合わせて乞う。自分でそういった要望をするなんて、多少の恥ずかしさはあるがそれを凌駕するくらい、渉太ばかりだけではなく、律仁さんも一緒に気持ち良くなってほしい気持ちの方が大きい。  律仁さんはされるよりする方がいいのかもしれないけど、好きな人の全てを愛したい気持ちは渉太も一緒だった。言った後で彼を直視できずに目を伏せていると律仁さんが詰め寄ってくると頬に軽くキスされた。 「それは嬉しいけど渉太、無理してない?」 「してないですっ……。俺だって、律仁さんの全部を知って、愛したいから……」  今までは嫌われるだとか、恐怖だとか自分が誰かに欲情することに後ろ向きでいたけど、律仁さんに出会ってから触れ合うことは、互いの全てを知り、愛を確かめ合える幸福な時なのだと知った。  渉太の頬をひと撫でして離れると、「俺の目の前にして引かないでね?渉太、俺の顔に跨ってくれる?」と自嘲的な笑みを浮かべて律仁さんは、ベッドに転がるように大きく大の字になって寝転がった。 「か、顔って……⁉律仁さんの顔に跨るなんて……。そんなこと、できるわけがないじゃないですか⁉」  てっきり律仁さんが渉太にやってくれているみたいな体勢を想像していたので、咄嗟のことに頭が混乱する。仮にもアイドルの顔の上に自分の下半身を晒すなんて出来るわけがない。 「渉太が俺の顔に下半身向けるなんて今更でしょ?」  口元をニヤつかせながら悪戯に問うてくる。確かに何度も律仁さんには醜態を晒しているとはいえ、自ら望んで晒すのとでは意識が違う。堂々と寝転がっている律仁さんの横で、跨ることに躊躇していると「渉太と一緒に気持ちよくなりたいなー」と律仁さんが呟いてきたので、渉太は意を決意して深く頷くと、這いつくばりながら律仁さんの顔に跨った。  

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