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冒険者って憧れるよな⑤

冒険者ギルドにつくと少しだけソワソワしてきた。厳ついおじさん達や綺麗なお姉さん達が沢山いて賑わっている。皆一様に冒険者って感じの盾や装備、杖なんかを持っていて、見ているだけでニヤニヤしてしまいそうだ。 「おい、リアムさんとダリウスさんが一緒にいるぞ。隣のヤツは誰だ?」 「ダリウスだって!?マジだ……。引退したんじゃなかったのか?」 「あれだろ例の事件で恋人亡くしちまって……」 「しっ、聞こえるぞ」 ヒソヒソ話をしている人達の方を見たら、「気にしなくていいよ」とダリウスに言われたから視線を前へと戻す。クリスの死がダリウスの冒険者を辞めた理由なのはわかった。でも、深堀はしない。 本当は知りたい。会ったばかりなのに、ダリウスのことがこんなにも気になるのはどうしてなんだろうな。 もしかしたら身体がクリスのものだからかもしれない。 「冒険者になりたいんだけど」 受付の女の子に話しかけたら、リアムとダリウスを見たあとに一瞬驚いた顔をされてしまった。やっぱり二人は凄いやつなんだろうな。俺もそんな風になれるかな、なんてお気楽なことを考える。 「こんにちは冒険者登録ですね。私は受付のアリスです。冒険者証をお作り致しますので、こちらに個人情報のご記入をお願いします」 渡された紙を受け取って、羽根ペンで記入していく。 「えーと、名前は……」 「いい名前だね」 書いている書類を覗き込みながらリアムが褒めてくれる。なんだかくすぐったい気持ちだ。俺も結構自分の名前好きなんだよな。 ダリウスは興味がないのか、掲示板に貼られた紙を眺めていた。俺の個人情報とか真っ先に知りたがりそうな気がするのに。あいつの考えてることはまったくわからない。 空欄を埋め終えるとアリスちゃんに書類を手渡す。確認をしてくれて、滞りなく手続きが終了した。 「それではここに手をかざしてください」 目の前に置かれた銅色のカードに手をかざすと、一瞬柔らかな光が出現して消える。同時に、カードに模様と文字が浮かび上がってきて、冒険者証へと変化した。リアムやダリウスのとは色が違うけど、紛れもなく冒険者証だ。 「今の光ってなんなんだ?」 「あれは冒険者証にステータスを記録する魔法です。冒険者証のステータスは緊急時や階級変更時以外は他人に見られないようになっていますので個人情報管理はバッチリです。微量の魔力を流し込むだけでステータスを見ることが出来ますよ」 「へ〜!」 試しにやってみようと思ったけど、そもそも魔力ってどうやって操るのかわかんないから、諦めた。後から二人に教えてもらおう。

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