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コツがあるんだよ①

屋敷に帰ってくると、風呂に入るように言われたから従う。窮屈だったマントを脱ぐと、体を洗ってから無駄に広い浴槽に身体を浸した。大浴場を貸切してる気分だ。 「クリス、俺も入っていいかな」 「はあ!?」 驚いて身体を半分湯船から出すと、許可も出してないのに既にダリウスが侵入してきていて慌てる。隠すことなく堂々とした素っ裸。見惚れるくらい綺麗な筋肉だけど、今は見ていられない。 顔が良いせいなのか、色気が漂っている気がする。 (まじで直視できないし。てか、勝手に入ってくんなよ) 今すぐ追い出したいのに、自分の身体を見られるのも恥ずかしくて顔を半分埋めて、ぶくぶくと口で泡を作って気を紛らわすことしか出来ない。 身体を洗い終えて、俺の隣に当たり前のように座るダリウスを横目で睨む。恥ずかしがる必要なんてないのかもしれないけど、どうしても意識してしまう。 「顔が赤いよ」 額にひんやりとした手があてがわれて、思わず肩を跳ねさせた。 「恥ずかしいの?可愛いね」 額にあった手が顎に伸びてきて、上を向かされると泡が止まる。そのまま唇を奪われて、肉厚のねっとりとした舌が入り込んでくる。 好きでもない相手のはずなのに、なんでこんなに気持ちいいんだろ。 今の俺、凄くだらしない顔をしている気がする。 「フェロモンが少し漏れてるね」 「わ、かんないっ」 フェロモンってΩのやつだよな。そんなの本当に俺から香ってるのか? 「その顔、たまらないね」 ダリウスの瞳にとろんとした顔の俺の姿が映し出されている。恥ずかしくて目を閉じた。上顎や歯列を舌先でなぞられて、ゾワゾワと背筋に快感が走る。柔らかな唇で舌先を吸われて、下半身まで疼いてきた。 「本当に可愛い。愛しているよクリス」 「んぁ、あっん、俺はクリスじゃなっ……んんっ」 太ももを大きな手が這う。その手が、膨らんだ性器へと触れてきて、思わず甘い声を漏らしてしまう。水の中で扱かれているせいなのか、いつもよりも快楽が強くて、声が抑えられない。思わず、離れた唇を自分からダリウスへと押し付けた。 嬉しそうに目が細められたのがわかって、少しだけ悔しくなる。快感から逃げようにも、巧みに気持ちいい場所を刺激されてしまい、身体から力が抜けて、抵抗すらできない。 「あんっ、あぁ……やぁっ、ダリウスぅ、出ちゃう」 「いいよ。イクところを見せてごらん」 「ひ、ああっ、イクっんんん」 亀頭を刺激され、強めに握られながらストロークされて、呆気なく性を吐き出してしまった。目尻を赤く染めたダリウスが「上手にイケたね」って囁きながら、またキスをしてくる。それを受け入れながら、絶対殴るって気持ちと、ほんの少しの幸福感を味わっていた。 風呂の中でイったせいなのか、のぼせてしまった俺をダリウスが介抱してくれる。魔法で身体を乾かしてもらい、服を着ると、そのまま部屋へと連れていかれた。 ダリウスの腕に頭を乗せて、抱きしめられながら目を閉じる。今は抵抗する気すら起きない。 「クリス愛してる。俺と結婚しよう」 「……するわけ、ない……だろ」 否定の言葉を発しながら、ゆっくりと思考を停止させていく。目が覚めたら、この夢みたいな出来事が本当の夢になっていればいい。 そんなことを思いながら眠りについた。

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