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よく遭遇する先輩

スーパーでダラダラと買い物をする。 俺のレパートリーなんて、大した量がないからカレーとオムライスを出してしまうと あとはなにを作っていいか分からない。 食材を眺めながら行ったり来たりしていると 「優聖くん」と声をかけられた。 驚いて顔を上げると高山さんがいた。 「あ、こ、こんにちは」 「うん。っていうかこんばんは?」 「そうですよね。高山さん、お家この辺なんですか?」 「もうちょっと遠いよ。大学と自宅の間にこのスーパーがあるから良く来るんだよね。 優聖くんはここから近いの?」 「はい。とても近いです」 「自炊なんて偉いな。なに作るの?」 「それが…、もう俺が作れるものが尽きてしまって…」 「え?あれ?入学式から何日だっけ?」 「…、3日っすね」 そう言うと高山さんは腹を抱えて笑った。 「2品だけで自炊派になろうとしてるの凄くない?」と笑いながら言った。 確かにそれはそうだけど、そんなに笑わなくても… その気持ちが顔に出ていたのか、 「そんな顔しないでよ。優しい優しく高山さんがいいレシピ教えてあげるよ」 と、言って僕を連れて買い物を再開した。 「やっぱりね、丼物がコスパいいよ」 そう言って携帯でレシピを調べるでもなく どんどんと材料や調味料をカゴに突っ込む。 「あとはテキトーに親子丼のレシピ調べれば、作れると思うよ」 「あ、ありがとうございます」 家にない調味料も買ったからなかなかの量になったし、会計もそこそこした。 が、「これだけ調味料揃えたら、あとはどんどんかかる金額が下がっていくから。自炊は初期費用が高いの」と、高山さんが言う。 家が近くて良かった、と思いつつ千切れそうな袋の取っ手を掴んで「じゃあ」と、高山さんに言うと 「いやいや。俺が色々買わせたし、手伝うよ」 と言ってくれた。 「じゃあ、お言葉に甘えて」 と僕は袋の一つを手渡した。 ついでにこの調味料たちで作れる他のレシピも聞いておこう。 話しながら歩いているとあっという間にアパートに着いた。 ここでいいです、と階段の下で伝えたが、 「どうせなら部屋も見たい」と高山さんが言うので部屋の前まで来てもらうことにした。   ドアの取手に手をかけると、鍵がかかっていなかった。 全く…、地元と違ってここは少し治安が悪いんだから、志貴に気をつけろと注意しなきゃ。 高山さんに「何もないところですけど、上がりますか?」と聞いていると、 志貴が玄関まで出てきた。

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