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準備
「いや…、そういうのじゃないんですけど…
あの、見えないようにするので!」
俺は手に持ったインナーを高山さんに見せる。
「いや、別に優聖くんが痛く無いならいいけど。
弟さんと言い、彼女と言い、優聖くんは独占欲が強い人に捕まるんだね」
「はは…」
どっちも同じ人です、とはいえず、
俺は曖昧に笑った。
「しかし、肌が白いからすごく目立つね」
「ずっとバスケ部だったし、インドアだして、全然焼けないんですよね」
「わかる〜。大学生になるとより内にこもることになるよ。
自ら外出する人ならいいんだけどねぇ。
あ、俺、コートの準備してくるから、ゆっくり着替えてて」
いつの間にか服を着替えた高山さんが、入り口のドアに手をかけて言う。
「あ、はい。俺もすぐモップがけとか手伝います」
「ありがとう。助かるよ。
まだ時間あるからゆっくりでいいから」
高山さんは颯爽と体育館に向かった。
一緒に着替えたのが高山さんだけでよかった。
初対面の人にこんなあざ見られたら、一線引かれてしまう気がする。
俺もすぐに着替えて、バッシュを履く。
体育館の感触、久しぶりだ。
でも明日、筋肉痛になりそうだと
苦笑して俺もコートの準備を手伝う。
6時半になるとちらほらと人が集まり始め、
スタート時間を10分過ぎた頃に
出席の連絡があった全員が集まったようだ。
みんな、けっこうマイペースなんだな
と安心した。
本当に多少遅れても、誰も何も言わないようた。
メンバーは15名程度で、2チーム作っても余りが出る。
その中には女性も数人いた。
男女問わず、のんびりやっているようだ。
今回初参加と見学の人が、俺を含めて4人ほどいて、それぞれ軽く自己紹介をした。
この4人はどうやら1年生のようだ。
少しは仲良くなれたらいいな、と
俺は若干邪な気持ちを持った。
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