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彼女じゃない

席に戻ると、表情に出ていたのか 「どうかしました?」 と、隣席の女子に聞かれた。 どう誤魔化していいかも分からなかったので、弟が門限に厳しくて…、と愚痴を言った。 「優聖さん、実家暮らしなんですか?」 「いや。弟と2人暮らしですね」 「珍しいですね。まあ、早く彼女でもつくっちゃって、同棲しちゃいましょう」 「え!?ちょっと早すぎない!?」 「でもぉ、弟から逃れるには1番手っ取り早くないです?」 「う~ん」 俺が答えあぐねていると、さっきまで別の人と話していた向かいの席の高山さんが 「でも、優聖くん、彼女も束縛ヤバそうだよね」 と、とんでもない爆弾発言をかました。 案の定、隣席の女子は「ええ!?なにそれ!?聞きたいです!!」と目を輝かせている。 あれ、付けたの弟です、とはいえず 「彼女ではないんですけど…」と思わず口に出した途端、 「「どういうこと!?」」 と、高山さんも女子も更に身を乗り出した。 失言だ… 彼女でもない女に手を出してると思われてる。 が、どう弁明してもドツボに嵌るだけだろう。 どれもこれも志貴のせいだ。 「優聖くんって、見た目とかキャラの割にエグめの人生送ってるんだね~」 とか言われて、俺のサークルデビューは失敗した。 多分。 いや、絶対これは失敗だろう。

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