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無気力
それから、飯を食べて、ヤって、寝て…みたいな生活を数日繰り返した。
俺にはもう志貴に反抗する気力はなく、言われた通りに動くだけの人形のようになった。
どう頑張ったってこの生活から抜け出す術はない。
サークルもバイトも、一回行ったきりでサボってる状態だし、もう復帰は無理だろう。
大学の授業も両親のことを思えばしっかり単位を取りたいが、いつ外に出られるかも分からない。
志貴は、俺を養わなきゃいけないから、と大学に行き、日用品や食品の買い物をして帰宅する。
志貴がいない間は、拘束されたままなので、じっと天井を眺めるか寝るかの2択だ。
もちろん、携帯は没収されたまま。
初めの頃は「頭がおかしくなりそうだから、せめて大学には行かせてくれ」とお願いしていたが、人間には慣れと言うものがあるようで
何にもしない生活を今は受け入れはじめている。
ガチャガチャと玄関のドアが開く音がして、志貴が帰宅したことがわかる。
部屋に入ってきて、俺と目が合うと志貴はいつも満面の笑みで「ただいま」と言う。
俺はなんの疑いもなく「おかえり」と返した。
声に力はないし、笑みを返すほどの気力もない。
そうだ
最近は気力がなくて頭も働かず、自分がすることなすことを全部、志貴に指示された通りにしていた。
ご飯を食べるのも、風呂に入るのも、全て志貴に介助されている。
自分の意思でやりたいことが、何にもない。
まるで廃人だと思うが、それすらどうでも良かった。
こんな状態なのに、志貴はずっと機嫌がいい。
「はぁ…、ずっと、優聖の隣にいられたらいいのに」
おかえり、というついでに布団から起き上がった俺を抱きしめて、志貴はため息をつく。
「優聖がいるから、俺は中学も高校も通えたけど、大学に優聖がいないから行く意味もわからない。でも、俺1人で優聖を養えるようになりたいから、頑張る。
ねぇ、励まして」
俺の胸に頭を擦り寄せながら、志貴が言う。
相変わらず、重たいやつと思いながらも、悪態をつく元気もなく、その頭にそっと手を添えた。
すると志貴は、撫でられてご機嫌な猫のように、さらにグリグリと頭を擦り付ける。
「ねぇ、優聖、ご奉仕で励まして?」
志貴が甘えるように言う。
その言葉に俺はノロノロと志貴のズボンに手をかける。
そう言う行為に、もはや抵抗感はなかった。
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