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第2話 ペルシャ①

部屋は7つ つまり、一度に最大7人の客を取れる 部屋にはそれぞれ、 【アメリカンショートヘア】 【シャム】 【ペルシャ】 【スコティッシュフォールド】 【三毛】 【マンチカン】 【ロシアンブルー】 の名前がついており、それぞれの猫のイメージに合うようなプレイヤーがシフトで配置されることになっている 【アメショ】や【スコティッシュ】【マンチカン】は人懐こくてかわいい系 【三毛猫】【ペルシャ】はやんちゃ系か小悪魔系 【シャム】はクールで、【ロシアンブルー】は神秘的 タキは大学が終わったあと一度家に帰り仮眠をとると、7時少し前に店に入った プレイ時間は30分コースと1時間コースがあり、タキだけでも一晩で平均3、4人の客が取れる人気の店だ タキの場合は固定客もついていて、ソフトな客からハードな客までいるが、皆プレイを逸脱するようなマナー違反はしないし何より金払いがよかった ガラス越しにキスやフェラの真似事でもしてやれば、その分料金に上乗せしてくれる タキがなぜこんな仕事をしているかというと、セックスでは感じないくせにオナニーでよがっているタキを見た昔の彼氏が、「お前が他人を悦ばせることができるとしたら、ここしかない」と紹介してくれたからだ 需要と供給という言葉があるが、まさにタキのためにある店だと思った 「タキくん、クロさん来てるよ」 スタッフの言葉に片手を上げて答えて、タキは控え室に入った そこでプレイヤーは客が指定した衣装に着替える 今夜の最初の客は必ず喪服の着物を指定してくるので、店のスタッフからは【クロさん】と呼ばれている 客の名前は本名でも偽名でもいいし、言っても言わなくてもいい クロさんは本来なら名無しの客だが、あだ名でもないと不便なので勝手につけさせてもらった タキは洋服掛けから喪服を取ると裸の上に羽織った 本格的な着付けなどはできないし、この衣装を着るのはほとんどタキだからと丈を調整してもらっているからそのまま着る 襟の合わせは深め 衣紋は抜きすぎず露出は控えめに マジックテープでつくタイプの作り帯を腰に巻いて完成 別に向こう(クロさん)から指示されたわけではないが、やるからにはなりきりたい性分のタキは、ネットで喪服の着方を調べてその通りに着るようにした きちんと着た姿を初めてクロさんに見せた日、クロさんはいつも以上に興奮して何度もイッた それ以降、クロさんの予約は全部タキ指名の一時間だった 時計の針が7時ちょうどをさした タキはプレイルームに向かおうとして足を止めた 「危ない危ない」 忘れるところだった 次に予約が入ったら使おうと思って買っておいた足袋を、バッグから取り出して履いた タキが支度を終えプレイルームに入ると、クロさんはスーツの上着を脱いだ状態で椅子に座っていた 「こんばんは。いつもありがとうございます」 タキが三つ指ついて挨拶すると、クロさんは開口一番「足袋、素敵です」と言った 「クロさんのために用意したんですよ」 タキは脚を崩して足袋を見せた クロさんの喉仏が上下に動いた 「タキさん、脚さすってくれますか?」 スピーカーを通してクロさんの声が聞こえた 「はい」 タキは横向きに座ると、着物の裾から少しずつ左脚を出して、太ももから下に向かってさすった 前屈みになるときはできるだけ胸を張って、背筋を反らせると胸元に注意がいく 緩慢な動きで一連の動作を繰り返し、最後に顎を上げた ガラス越しにタキを凝視するクロさんと目があった 「今日はどこまで脱ぎましょう?」 タキが左脚をさすりながらもう片方の手で襟をつかむと、クロさんは首を振り、 「今日は下だけで」 と言った タキは伸ばした左脚を曲げ正座を崩した座り方に変えた これまでクロさんは自分では何もせず、じっとタキの動きを見ているだけだ 後半になってから自慰をする日もあれば、何もしないで帰る日もある パターンがわからないままそういうことをされると、プレイヤー側にも火がつき、何としても自慰をさせたくなってくる 今日はどうだろうか タキは股を開いた

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