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第30話 アメショとのら猫①
「希望があれば聞いてるんだけど、本当に何もない?」
「…」
反応がない
九はトワには気づかれないくらいの小さなため息をついて、自分の身体に感覚を集中させた
シャツの下で乳首をつまんで、親指と人差し指に力を込めた
それをこねるように左右に揺する
「ん…」
このまま一人で感じるか、と目をつむった
「待てよ」
トワの声が響いた
九がゆっくりと目を開けた
快感に鋭敏になりかけていた感覚が、また鈍化した
「それなら、恋人に見せるようにやってよ」
九が目を細めて笑った
「じゃあこっちに来て。抱き合お」
九がガラスの向こうで手招きした
トワがガラスに近づくと、九がガラスに爪を立てた
「キスはオプションだけど、してもいい?」
「いくらでもいいから、恋人ならいちいち金の話なんてするな」
トワは、ガラス越しに九の手に自分の手を重ね合わせてから唇を近づけた
「ん…ふ…」
漏れる吐息も逃さず拾ってくれるマイクの性能に驚いた
「抱き締めたい」
「いーよ」
九が腕を広げてガラスにへばりついた
本来なら冷たいはずのガラスなのに、体温が伝わってくる気がした
「トワ、熱いよう」
そう言うと、九はトワの目の前でシャツの胸をはだいた
「ごめん…俺のせいだよね?」
「ううん。好き」
九が幸せそうに微笑んだ
これが演技だなんて到底思えない
トワはやっと両思いになれたと思った
「トワは脱がしたい?それとも脱いでほしい?」
「脱がしたい」
「じゃあ、脱がしたいとこ触って?」
トワはガラス越しにジレに触れた
九がゆっくりとジレのボタンを外した
次にトワがシャツをたくしあげる仕草をすると、九がそれに倣った
小さくて形のいい臍、少し割れた腹筋、そしてさっき弄ったせいかぷっくりと勃った乳首が露になった
トワはガラスに唇をつけ、九の乳首を吸った
九が顔を紅潮させ身をよじった
「後ろから腰を抱かせて」
思わず欲望を口にしていた
九が少し前屈みになった状態で後ろを向いた
「下、脱がしていい?」
「うん」
九がゆっくりとスラックスをおろした
「ノーパンだったの?」
「ん」
「エロ…」
白くて小さくしまった臀部だった
トワはこらえきれず、自分もパンツをおろした
「くそっ!」
腰を抱いて局部と局部をこすりつけたいのに、ガラスが邪魔で近づけない
「こんなの、生殺しだ…」
トワは自分でしごくしかなかった
九は後ろに目がついているかのように、トワの動きに合わせて腰を動かして喘いだ
「九も前触って」
「ん…」
九の喘ぎ声が大きくよりリアルになった
トワがストロークを大きくすると、九の喘ぎ声も大きくなった
「トワ!もっと」
「ダメ、イっく…」
「ダメダメダメまだダメ!もっと突いて!」
九と付き合ったらこんな風になるんだろうか
(たまんねえ…)
「ダメ、ムリ…」
トワの精液がガラスに飛び散った
九もイッたのか、シーツにシミができていた
九はお尻を突き出した状態で膝をついて、肩で息をしながら振り向いてトワを見た
ゾクゾクゾク
トワの産毛が逆立ち、ペニスがまた硬くなった
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