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第135話 三毛とソマリ

※胸クソ注意です※ 口は悪いし、浮気性、それに適当 だからすぐ指名から外される 見た目はいいし、ノリもいいから客はつくが、他のプレーヤーに乗り換える客が圧倒的に多かった 新規客の取り込み要員としては必要なスタッフなのだろう だが、自分だって求められたいし大切にされたい コノエはプッシールームでの自分の立ち位置に疑問を抱くことがあった 一方でどうしようもないことだと諦める自分もいた どんなに珍しくても、かわいくなかったり、なつかなかったら捨てられるんだ コノエのこの厭世感は幼少期に遡る ※※※※※※※※※※※※ コノエと妹は、大学教授の父親がロシア人の留学生を孕ませてできた子供だった 母親は二人を産んでほどなくして帰国してしまったので、コノエに母親の記憶はない コノエが産まれたのは地方の学術都市だった 地方自治体が広大な土地をもてあまし、都会の名門私立大学を誘致して作ったオモチャのような街だった 夢を抱いてきた若者たちと、地元住民との間に見えない壁が存在する、そんな二元的な街 それでも学生たちは卒業すれば、皆、地元なり都会なりそれぞれの居場所に去っていくが、コノエは違った 【よそ者】が産んだ異質な子 それがコノエと妹に張られたレッテルだった そして、その【よそ者】は子供ゆえに学校に通わなければならない 見た目は天使だったから、最初は珍らしがたり興味本位で声をかけてくれるクラスメートもいた だが、元々の乱暴な性格がたたってすぐにつまはじきにされた そんなことを3年繰り返し、父親が別の大学に移ることになった 小4で転校した先でも、まるでエンドレスエイトのように同じことが繰り返された 小学校高学年で彼女ができたが、適当な性格が災いしてすぐにフラれた アキラとはうまくやれていると信じたい だが、チャンスをつかんでステップアップしていくアキラを見てると、自分が取り残されたような気がして焦りと不安に苛まれる そのイライラの発散先がアキラとのセックスだった 最近はどんどんひどくなっている 自覚はある アキラは声が商売道具なのに、喘ぎすぎて喉を痛めてしまうのではないかと心配する一方で、わざと喘がせたい自分もいる そして一緒に堕ちろと思う 最低な自分を止められなかった ※※※※※※※※※※※※※※ アニメの放映に続いてゲームのリリースも発表された 今日はゲーム版の顔合わせ兼デモの初日とあって、そうそうたるメンバーが顔を揃えていた 「アキラさん、喉の調子悪そうですね」 アキラは控え室でのどスプレーを使っているところをエチゼンに見咎められてドキッとした 仕事の前日はセックスはしない約束になっているのに、昨晩のコノエはしつこくて、アキラはつい折れてしてしまった 最近のコノエは不必要なほどアキラを攻め立て、失神寸前までイカせようとする 声云々以前に体力がもたないのだ 控え室にエチゼンしかいないことを確認したアキラは、つい愚痴ってしまった 「コノエくんはかっこいいし大好きなんだけど、明日仕事だからやめてと言っても求めてくるときは、大切にされてる実感がわかないというか…」 「そんな…アキラさんはいまが大事な時なのに…」 エチゼンの頭に、ふいに自分の恋人(ヒヤ)の顔が浮かんだ 「気持ちなんとなくわかります。うちもヒヤがそういうところあるから…仕事を始めてから特に、こっちの都合を考えずに迫ってくるときがあって…そうされると一気に萎えるというか、どんどん気持ちが離れていくというか…」 スラスラとヒヤへの不満が口をついて出る自分に驚いた 溜めていたことや押さえつけていたものが、自分の中で明文化された瞬間だった 他人に話すことでもなかったとアキラを見ると、疲れなど感じさせない笑顔で、「僕と一緒だね」と言った その言葉を聞いて、エチゼンは心地よさにめまいがしそうだった そして、ついに気づいてしまった 自分がヒヤとは同情で付き合っていたことに 悲しい過去を持つヒヤを救いたいと思っていた 愛情を与えれば、悪いところは削ぎ落とされて、時々見せる無邪気で繊細なヒヤだけが残ると思い込んでいた でももう疲れてしまった エチゼンの都合など省みないヒヤに エチゼンの話に相づちすら打たずに、自分の話を被せてくるヒヤに 労いの言葉ひつとかけられないヒヤに 他人の恋人のアキラでさえできるのに 「最初から、俺には手に負えなかったんです…」 エチゼンの呟きに、アキラが「僕も」と言葉少なに答えた

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