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第147話 恋の季節②
ちゅぱちゅぱ
じゅる
じゅっじゅっ
AVで目隠しプレイは何回かしたが、こんなに大きく音が聞こえていただろうか
音に集中すると、自然とエチゼンがフェラをしている姿が瞼の裏に浮かんだ
頭の中のエチゼンはヒヤの太ももを押し広げると、股の間からヒヤを見上げた
「はっ…あっ…」
きっと実際も、よがっているヒヤを熱い視線で眺めているに違いない
「あ…ダメ…俺がコースケのこと気持ちよくしたいから…あ」
ヒヤはイク前になんとかエチゼンを引き離すと、手探りでエチゼンの胸板とペニスに触れた
ここまでたどり着ければ目が見えなくてもできる
ヒヤはエチゼンの上に跨がって、自分の後ろを弄った
目隠ししたまま背中を反らして後ろを弄るヒヤの姿を見たエチゼンは、瞬時に【やばい】と感じた
食べてはいけないと言われていたリンゴを食べてしまったアダムとイブ
開けてはいけないと言われていた箱を開けてしまったパンドラ
神話のように神から禁止されてなどいないが、自ら律してきた扉が開きかけてるような感覚
目隠しプレイなんて誰でもしてる
だが、その先を見たくなってしまったら?
エチゼンは強烈な欲望と自制の狭間で揺れた
その時、ヒヤが息絶える直前のような息づかいで言った言葉がエチゼンのタガをもぎ取って行った
「…っ一緒にイこ」
エアコンをつけたベッドルームに移動して、2人でブランケットにくるまった
時計は12時を回っていた
「新しい部屋の解約金は俺が払うから…」
久々に、リビドーに突き動かされた激しいセックスの後、反動で訪れた甘々ムードが消えないエチゼンは、ヒヤの指を一本一本さすりながら言った
「このまま一人暮らしするよ。そんなに遠くないし」
意外な答えで少しがっかりしたが、エチゼンは、「そっか。ヒヤの選択を応援するよ」と微笑んだ
「これからは自立した大人としてコースケと付き合っていくんだ!」
ヒヤの目が今まで見たことがないくらいキラキラと輝いていた
甘えん坊で傷つきやすく、他人の気持ちを想像することに難がある、自己評価の低いヤンデレだと思っていたのに、いつの間にこんなに健全な人間になっていたんだろう
エチゼンは横向きに上半身を持ち上げてヒヤにキスをした
しかしヒヤはすぐに唇を離すと、
「ところで、コースケは誰に目移りしたの?」
とにらんだ
このタイミングでまさか矛先を向けられるとは思わなかった
「俺だって言ったんだからコースケも言ってよ」
エチゼンは言うか言うまいか真剣に悩んだ挙げ句、
「…アキラさん」
「ウソでしょ?!友達の彼氏だよ?!あ!まさかそれでコノエくん店辞めたの?!いまタチできるコいなくてお店困ってるんだから!」
ヒヤの反応は怒っているというよりは呆れているように見えた
一瞬だけタキに揺らいだことは告げなかった
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