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第151話 秋のペルシャ②

緑人は、食事中に中座して、レストランから程近い高級ホテルを予約した 平日のため、空きがあったのはラッキーだった タキとの初めてをビジネスホテルやラブホテルなどで過ごしたくないし、自分の家まではとても我慢できそうになかった 「くっ…ん…」 ドアを閉めると同時にタキを抱き寄せてキスをした タキの鼻腔から仄かにベリー系の甘酸っぱい香りがした おそらく最後に食べたデザートの味だ 「はっ…」 一旦唇を離し、タキの顔を見ると、目の焦点が定まっていない 「キス、好きですか?」 「ん…」 今度はタキの方から緑人の首に両手を回してきた タキと緑人は餌を分け与えるインコのように、お互いの舌をついばみながらベッドルームに向かった ゆっくりとベッドに腰掛けてから横たわるタキに、緑人は欲情を掻き立てられた シャツが乱れて露になった肌を指でなぞると、陶磁のように白かったのが紅く染まっていき、まるでキャンバスのようだと緑人は思った 「タキさん…」 「意地悪なことをたくさん言ってごめんね。あれだけ言ったのにまさか受け入れてもらえると思ってなかったから…」 そう言ってタキはピンク色に染まった瞼を伏せた 緑人はすぐにでもタキと繋がりたかったが、そんな自分本位なことをタキ相手にはできない 「…さっき言ってた準備って、僕が手伝えることありますか?」 「クリーム使って、指でほぐしていくんだけど…」 タキは視線で自分のバッグを見た 緑人がバッグを漁ると、中にクリームとコンドームが入っていた タキが自分と会うにあたって準備をしてきたのかと思うと、より一層興奮した 「それ、俺にやらせてください」 「え…」 緑人はタキが返事をする時間すら待てず、ベルトを外した 「諏訪さ…」 緑人は左手でタキのモノをさすりながら、右手で後ろの穴を触った 左手はこなれているのに対し、右手はどうしてもぎこちなくなる ココに()れるのだから、広げるようにマッサージしていくのだろう 緑人の自己流の前戯に、タキが気持ち良さそうに反応した 「後ろの方が気持ちいいの?」 「普段は前触らないから…」 確かに後ろの反応に比べると、前の反応は鈍く感じる 「でもイクのは前でイクんでしょ?」 聞きたいことが山ほどある 一般的なことからタキの体のことまで タキを気持ちよくさせるためならどんなことでも知りたかった タキからは何も指示がなかったため、女性にする時のようにやってみた クリームの助けもあり、するするとあっという間に指が3本入った 「…どうですか?」 「ん……大丈夫…だと思う」 GOサインは出たが、緑人にはタキが気持ちよくなったという手応えは感じられなかった だが、これ以上指でやっても同じような気がした 緑人は一瞬迷ったが、部屋に入ってからずっと勃ちっぱなしだった自分のモノに、一旦ごほうびをあげてもいいのではないかと考え、意を決してタキの脚を押し上げた 入り口が誘い込むように吸い付いてくる 緑人はタキをじっくりと味わい尽くすつもりで中に入った 「あっ…」 指3本咥えこんでいたから、もっと簡単かと思っていたが、スムーズに入れたのは先端までで、残りは押しては抵抗され、また押しては抵抗されるといったことを何度か繰り返し、根元まで入ったときは妙な達成感があった 同時に、抵抗にあってまで進んだ先の締め付けは、いままで経験したどの膣よりきつく、緑人はあっという間に持ってかれそうになるのを必死にこらえた タキの顔を見ると、逆手で枕をつかみ、薄目を開けて緑人を見ていた 緑人はその視線に焚き付けられてより深く深くねじ込んだ ず ずずず 入口ギリギリまで戻ってターンバック ぐ ぐぐぐ ぱちゅん 行き止まり グリグリ このルーティンをあらゆる強弱と緩急をつけて繰り返す 「あっ…はっ…」 タキの口から次第に声が漏れてきた タキらしい喘ぎ声を抑えた禁欲的な態度にそそられ、緑人は次第に力の制御ができなくなっていった 「やっ…やっ…あっ…いっ…」 「イク?」 タキがブンブンと頭を上下に振った 緑人はラストスパート時によくやるように、ストロークを長くとった 「あんっ…あんっ…あー…あー…」 タキの喘ぎ声が止み、腰が弓なりに反った だが、緑人に止まる気配はない それどころか、さっきまでのはまるで準備体操かと言わんばかりの激しさで突いてくる 「ちょっ…諏訪さん…俺もうイッたから…もう…やめ…!」 「イヤです」 「なん…」 「だって、タキさん、イッてない…じゃん…」 さっきまでとろけるような顔をさらしていたタキが一瞬で真顔になった その顔を視認して緑人は動きを止めた

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