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第154話 三日月、猫たちの夜会②

そこは、長谷川の知り合いが営むゲイバーだった 本来なら定休日なのだが、この日の密会のために貸してくれたのだという 「まさかこんなところで鉢合わせするなんて。でも色々繋がりました」 タキが隣の席を勧めてくれたが、長谷川は首を横に振り離れたテーブルに一人座った どんな顔をしてタキやリンと接していいかわからなかった リン、ミナミ、それに愛した店のプレイヤー(タキ) 長谷川の大事なものが、こんなにも危険にさらされている その状況事態が耐え難かった だから今夜、すべての計画を整えるのだ ※※※ 「大まかな内容はそれぞれに話した通りなんだけど、ここから先は長谷川さんに直接聞きながら進めていった方がいいんじゃないかと思って集まってもらった。新宿だとどこに目や耳があるかわかったもんじゃないからな」 マサトの話に長谷川もうなずいて 「渋谷にハセの店はないからな」  と言った そして長谷川は、マサトに聞かせたように、リンの継母・華殺害に至るまでのあらましを説明した 「ごめんなさい。つまり皆さんは、ハセをもう一度収監させようとしてるってことですか?ミナミのカフェを守るために?」 タキがすっとんきょうな声を出した 改まって言葉に出されると、こんなにもバカらしく聞こえるのかと長谷川は思った だからと言って日和ってはいられない 「ミナミのことだけじゃない。お前も狙われてるんだからな」 マサトが横から口を挟んだ 「俺?」 タキが自分を指差した 長谷川はそれにうなずくと、次はリンを見て、 「それとあとひとつ、俺が一番懸念してることなんだが…」 と言った 皆が固唾を飲んで長谷川の言葉に耳を傾けた 「ハセはお前が取り戻した店には興味ないと言っていたが、あわよくばと狙ってくるぞ。一度殺人に手を染め、成功体験を得てしまった人間にとって、命の価値は軽いと俺は思う」 リンの表情が凍りついた アットがリンの肩に手を回した その様子を確認して、今度はマサトが口を開いた 「それとさっきの話。あいつは無類の女好きで、いまでもテメーのキャバクラ()のコたちを散々食い物にしてるんだが、タキ、お前は長谷川さんの店に行ったことあるな?」 「はい」 「その時、お前のこと気に入ったらしく、長谷川さんに無理難題を押し付けてきている。だから俺たちは急いでやらなきゃならないと判断したってワケ」 そんなこと知らなかった 長谷川からは何も言われていないし、身辺に危険が及んでいるような実感はいまのところない タキは長谷川を見た 長谷川はかたくなにタキと目を合わせようとせず、ずっと横を向いていた

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