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第5話 合コン②

「スグルさん、女子は先輩と仲良くなりたいって言ってましたよ。」 「へぇー初めて聞いたよ。オレ女っ気ないからなぁ。」 「彼女いないんスね。なんでですか?」 「知らねぇよ。 おまえ何でさっきからオレに敬語なの?」 「俺1年なんで。」  それを聞いて頭をくしゃくしゃに撫でてやった。朝、髪のセットに時間をかけて、飯抜きなんだろう。山井に食い物で釣られたな。合コンには興味無さそうだ。 「先輩、頭はやめてよ。 伝説のリーゼントを頑張ってんだから。」 「今時かよ。女にモテねぇぜ。」 「先輩、髪きれいっスね。」 サラサラのスグルの髪を触って来る。 「やめろよ、誰が触っていいって言った? 馴れ馴れしい奴だな、おまえ名前は?」 「どーも。 福島馨(かおる)って言います。」 「男でも女でも使える名前だな、かおるちゃん。」 「かおるちゃんって言うな! 馨君、だよ。」 「ははは、悪かったな、馨君。」  ハジメは、山井の知り合いだという恵美って娘にくっつかれている。他の女子から睨まれても、今日はハジメにお持ち帰りされたいらしい。 「私、家が遠いから、高任君送ってぇ。」 舌っ足らずな声を出して誘っている。心優しいハジメは本当に送るだけだと思っている。  他のみんなはカラオケに行くことになった。  恵美はハジメの腕に抱きついて外に出た。 恵美がハジメの耳元で囁く。 「ホテルに行ってもいいよ。ね、行こ。」  その時二人の間に割り込む者がいた。 「何?酔っ払い?失礼ね。 あ、高任君、手を離さないでよ。」 「どっちの高任君かな?」 割って入ったのはスグルだった。

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