5 / 74
第5話 合コン②
「スグルさん、女子は先輩と仲良くなりたいって言ってましたよ。」
「へぇー初めて聞いたよ。オレ女っ気ないからなぁ。」
「彼女いないんスね。なんでですか?」
「知らねぇよ。
おまえ何でさっきからオレに敬語なの?」
「俺1年なんで。」
それを聞いて頭をくしゃくしゃに撫でてやった。朝、髪のセットに時間をかけて、飯抜きなんだろう。山井に食い物で釣られたな。合コンには興味無さそうだ。
「先輩、頭はやめてよ。
伝説のリーゼントを頑張ってんだから。」
「今時かよ。女にモテねぇぜ。」
「先輩、髪きれいっスね。」
サラサラのスグルの髪を触って来る。
「やめろよ、誰が触っていいって言った?
馴れ馴れしい奴だな、おまえ名前は?」
「どーも。
福島馨(かおる)って言います。」
「男でも女でも使える名前だな、かおるちゃん。」
「かおるちゃんって言うな!
馨君、だよ。」
「ははは、悪かったな、馨君。」
ハジメは、山井の知り合いだという恵美って娘にくっつかれている。他の女子から睨まれても、今日はハジメにお持ち帰りされたいらしい。
「私、家が遠いから、高任君送ってぇ。」
舌っ足らずな声を出して誘っている。心優しいハジメは本当に送るだけだと思っている。
他のみんなはカラオケに行くことになった。
恵美はハジメの腕に抱きついて外に出た。
恵美がハジメの耳元で囁く。
「ホテルに行ってもいいよ。ね、行こ。」
その時二人の間に割り込む者がいた。
「何?酔っ払い?失礼ね。
あ、高任君、手を離さないでよ。」
「どっちの高任君かな?」
割って入ったのはスグルだった。
ともだちにシェアしよう!