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第6話 上書き
「後から合流するよ。」
カラオケに行く連中にそう言ってハジメを追いかけた。
スグルにはわかる。ハジメは女の子が苦手なのだ。嫌がっているのがスグルだけにはわかってしまう。
(ハジメは困った時、オレを縋るような目で見て来る。子供の時からだ。)
「何よ、二人で何なの?」
「山井が待ってるよ。
恵美ちゃんをお持ち帰りしたいのは山井だ。」
後ろから山井がついて来ていた。
「わぁ、やだ。
山井、キモイよ。
私、帰る!」
タクシーを拾って帰ってしまった。
「俺たちはカラオケ行こうぜ。」
山井も一緒に、みんなと合流した。
カラオケはそこそこ盛り上がった。2時間ほど歌って騒いで、解散となった。
女子は行儀良く、連絡先を交換して4人で帰って行った。男たちも連絡先をゲットした事でホクホク顔で帰った。
ハジメとスグルもいつものようにハジメの部屋に帰って来た。
「俺、女は無理だ。」
しみじみつぶやくハジメの顔を見た。
「恵美ちゃんには悪いけど、すごく苦痛だった。」
慰めのつもりで熱い口づけをしてしまう。
スグルも欲を燻らせていた。何度も角度を変えながらキスを貪る。
お互いの昂りを見つけ、一緒に慣れた抜きあいをする。子供の頃からやっている事だ。
初めて精通した時から、時々、欲を吐き出す。
ゴムを付けて並んで射精した。
「はああ、生き返った。
気持ち悪かったんだ。
これで、嫌な感触も上書き出来た。」
恵美ちゃんに居酒屋のトイレでキスされたらしい。
「俺、女は無理だ。」
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