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第8話 チェリー
「うん、オレ、ずっと悩んでたんだ。
女に興味待てないんだ。
この前、風俗って所に行ってみた。
でも出来なかったんだ。」
「ブスだったんじゃねぇの?」
「酷いこと言うなぁ。
結構かわいい娘だったけど、全然勃たないんだ。
慰められて帰って来た。」
「一人で行ったの?勇気あんなぁ。」
「おまえはどうなんだよ。」
「うん、俺も女はダメみたいだ。」
「じゃあ男ならいいのかよ!」
二人で顔を見合わせてしまった。
(オレはずっとハジメだけを見て来たんだ。
今さら他の奴を愛するなんて出来ない。
でもハジメとセックスしたいとは思ってないよ。)
スグルはずっと自分の気持ちを抑えてきた。
何故か、それはいけない事だと思ってしまう。
ジェロニモは、冷たい男だ。たくさんのセフレがいる。男は今の所ハジメだけのようだが。
冷たい男だが、セックスの時は、優しい。同じ男か?と思うほど優しい。
男同士のセックスを、一から教えられた。身体が離れられない。だから待ってしまうのだ。
外語大で同じイスパニア語専攻。
「英語とスペイン語が出来れば大抵の国で通用する。」
ジェロニモの口癖だ。
何故か、ハジメは便利なのかいつも呼び出される。もちろん飛んで行く。
ある日、
「俺、インドに大麻買いに行くわ。
持って来れないから、あっちで堪能する。
おまえも来る?」
もちろん、ハジメはついて行くに決まってる。
バイトしてたスグルから金を借りて、パスポートをとり、追いかけて行った。
ジェロニモを独占出来る。夢のような時は長くは続かなかった。
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