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第22話 ミカド③

 ハジメが風呂で丁寧に後孔からローションを掻き出して中まで洗ってやる。いつもジェロニモがしてくれた事だ。手のひらで優しく身体中を洗って、抱いてやる。 「僕、終わってから、こんなに優しくされた事ないよ。」 「他の奴の事、俺に言うなよ。 そんなにいつも誰かとやってんのか?」 「だって、僕、プロだから。 プロスティチュート。プロの男娼。 ごめん、僕を汚いと思った?」  思わずミカドの肩を抱いた。 「汚いなんて思わないよ。 でも、おまえは、これが好きなの? 好きでやってるの?」  ハジメはショックだった。本気になりそうだった。いやもう本気になっている?  可愛いと思った。愛しいと思った? タオルできれいに拭いて、お互いに身支度を整えた。 「プロなら、金払わないとな。 今日は持ち合わせがないんだ。 家まで来てくれるかい?」 「全然平気。お金はいらないの。 お爺ちゃまから聞いてるから。後でもらえる。 ハジメは気にしないで。」 「ミカドを全部買うにはいくらかかるんだ? 俺、金をかき集めて、おまえを身受けするよ。」 「あはは、昔の女郎みたいだね。 僕はお金が必要な訳じゃないよ。  お医者さんは、ニンフォマニアだって。 僕、病気なんだ。」 「俺、本気なんだよ。」  ミカドを抱きしめた。 「俺と一緒になろう。毎日頑張るよ。 セックスしたいんだろ。俺とだけしよう。」  ミカドは困った顔をする。 「ダメなんだ。僕、一人じゃ満足できないの。」  ハジメはミカドを抱きしめて泣いた。 ベッドでしばらく抱き合って眠った。目が覚めたらもう深夜だった。  深い口づけをして部屋を出た。 「バイバイ」 ミカドは手を振って奥に消えた。  黒服がやって来た。 「いかがでしたか? ミカドは当店の人気ナンバーワンです。 恋をさせるのが、彼の仕事です。」  ハジメはうなだれて 「帰ります。あのぅ、爺様によろしく。」

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