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第23話 ハジメとスグル
家に帰って来た。ハジメは浦島太郎になったような気がした。
スグルがいた。いつものように。
「遅かったね。心配したんだよ。
ハジメは大の男だけど、トラウマがあるだろ。」
スグルには今夜の出来事を包み隠さず話した。
話す事で自分の頭を整理したかった。
「浦島太郎、か。
世界中に似た話がたくさんあるよ。
UFOに連れ去られて特異な経験をする話に繋がる。リップバンウィンクルとかもそうだ。」
「なんか、面白い話にするなよ。
今度スグルも一緒にあの家に行ってみようぜ。
ホントにあの店はあったのか?
俺たちの祖父ちゃんの事も知ってた。
俺の親父の事も。」
「ミカドさんて、プロなんだって?
普通ニンフォマニアって女性だけに使う言葉、症例?だけど。」
「男は当たり前にセックス好きだもんな。
男は溜まってくれば、みんなニンフォだ。
しかも抜けば欲は治まるし。
やり続けたがるのは女かもな。」
「でも、終わらない性欲があるのはわからないでもない。」
「寂しいんだよ。温もりが欲しいなら与えてやりたい。俺ミカドに惚れた。」
「愛し合うために、セックスは重要なファクターだと思うよ。自分の欲に正直なんだな、ミカドさん。」
スグルは愛のないセックスは、同じ人と2回目はない、と言い続けている。愛もない相手に情に流されるのはいやだ、と思っている。
童貞は卒業したが、本気の恋をしない。ゲイのプロを選ぶ。下北沢のハッテン場では有名だ。決して本気にならない。
「ハジメは一途だな。」
(帰って来て、もうミカドに会いたくなっている。
恋しい。)
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