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第24話 倶楽部

 倶楽部では週末ゲイパーティが開かれる。ビッグバンドが生演奏をする。  いつも顔を出す美容師の小鉄がドラァグクィーンになって登場する。  小鉄の仲間たちも揃ってステージで踊る。 この前、美容師仲間とラスベガスでショーを見て来た。 「もぉーっ、素敵だったのよ。ここでも是非やりたいわ。」  美容師はみんな芸達者で、なかなかカッコいい。全員男には見えないだろう。  大評判でファンクラブが出来ている。 奥の老人の知り合いらしい太客が、小鉄をいたく気に入って車をプレゼントしてくれる事になった。 「私欲しい車があるの。これじゃなきゃイヤ。」 「いいよ、いいよ、何でも言ってくれ。」  小鉄はフェラーリテスタロッサを所望した。 コネを総動員して、オーダーメイドに近い方法で手に入れてくれた。  納車に半年ほどかかった。 「ありがとう。まさかこれで、私を買おうなんて、思ってないわよね。身体は売らないわよ。」 「ははは、そんなゲスな下心なんかないよ。」 純粋にショーのお礼だと言った。  この倶楽部は不思議な所なのだ。世間の常識や基準から外れている。  ありえない事が普通に起こる。  常連は9割がゲイだ。そのほかにもレズビアンのカップルや、伝説のサディスト、個性的な会員が多い。政財界の大物は当然の事、芸能人や、所謂著名人、そして一般の人たち。誰かの紹介で友達の輪が広がる。  秘密厳守と、敢えて言わなくても、粗にして漏らさず、のようだ。  そしてプロスティチュート。男娼。厳選された美しい男たち。  老人のお眼鏡に叶った者だけが会員になれる。

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