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第26話 溺れる

 ロジャーたちの分も部屋を確保してくれた。 それぞれ2階の客室に引き上げる。2階はホテルだ、設備は揃っている。  ラブホテルのような品のない華美な装飾はない。シンプルで居心地の良い部屋だ。  不釣り合いな大きなベッドがある。 「君とは初めてだね。私で良かったのかい?」 ソファに並んで腰掛けて優しく肩を抱き寄せた。 素直にもたれかかって来る。 「五十嵐先生の本、買いました。 この前出たでしょ。出版記念パーティで伺いました。」 「ああ、ありがとう。4冊目の私の著作だが、物理学に興味があるのかい?」 「全然。難しくて少し読んで置いてあります。」 「そして、放り投げた? 入門書があるよ。あれなら面白いだろう。」  ユーツーが両手を首に回して、抱きついてきたので、口づけした。キスを強請る顔が可愛い。  抱きついて中々積極的だ。 「君はゲイなのか?抱いていいの?」  この頃のロジャーは学問が主体だった。プレイボーイと言われるのはもっと後の事だ。 「先生はやめろよ。ロジャーでいいよ。」  ユーツーの細くて形のいい指がシャツのボタンを一つずつ外していく。その手を掴んで顔を見つめる。 「君は綺麗な目をしている。吸い込まれそうだ。 サファイアの瞳。濃い青、群青色?」 「ボク、ロジャーに一目惚れだったんだ。 いつも誰かを誘ってる訳じゃない。」 「七尾は?奴とは寝たの?」  うなづいたユーツーを力一杯、抱きしめた。 (この私が、ジェラシー⁈)

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