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第28話 惑溺・執着

 何度も絶頂を迎えた。ツーが慣れているから上手いのか、と思ったら少し心がざわついた。  七尾ともやったと言った。あのスラブ民族の絶倫な性技に身を任せたのか?  今までのロジャーなら、気にしなかった色々が気になる。  ただのセックス、ただの遊び。男同士なら妊娠の心配もない。結婚を迫られることもない。  究極の男の遊びだ、くらいに思っていた。 本気になったら負け、なのだ。 「泊まっていける?」  ロジャーから、こんな引き止めるようなことを言うのは初めてだ。 「ごめんなさい。僕もロジャーと一緒にいたいけど、明日朝早くから撮影があるの。  少しでも眠らないと、肌が荒れるから。」 下着を着ける。シャツのボタンをとめる。パンツに足を通す。ファスナーを上げる時ちょっと股間を触る。靴下を履いて靴を履く。上着を着る。  どれもセンスのいい高級感のある洋服たち。 ユーツーは若いのに贅沢が身に付いている。  どんな男たちの庇護を受けて来たのか。 ちらっとロジャーを見た。 「送ってくれないの?」 こうして、もっとツーを見ていたいのに。  渋々、起き上がって、身支度をした。 「お尻、大丈夫か? 無理に全部は入れなかったけど。」 「うん、ロジャーのは巨大だものね。 今度オフの時、ロジャーに抱き潰されたい。」  ユーツーを抱きしめて 「早く、休みを取れよ。一日じゃ足りない。 おまえが欲しい。」  髪に顔を埋めてツーの匂いを嗅ぐ。次に会える時まで忘れないように。  ロジャーは熱に浮かされているようだった。 今までは結構遊んでいた。相手に不自由した事はない。  背の高いイケメンマッチョで、知性もあり、財産もある。大学関係でも出版関係でもロジャーの周りには女性が群がってきた。  多趣味だが,特にジャズピアノはプロ級と言われていた。  モテ要素満載の男なのだ。そしてバイ。 自分では気付いている。どちらかと言えばゲイ寄りだ。女性を抱くのはカモフラージュなのだ。  まだ、世間はそこまで成熟していない。理解できないのだ。 (そのうちカムアウトするさ。 義理で抱いたら、女性にも失礼だからな。)

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