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第30話 秘密のデート

 ロジャーはユーツーとの関係を続けるために、結婚を選んだ。酷い事だと承知の上で。  ツーとの秘密のデート、そんなものは続くわけがない。 彼女は専業主婦になっていつも家にいる。  家事は梅子さんという手伝いの女性が長年,五十嵐の家を支えてきた。ほぼ毎日来てくれていたが、週三回、短時間に減らされた。娘一家と暮らしている梅子さんも孫ができて忙しそうだったから丁度いい。  朝食をとって、大学に行く。毎日決まった時間に行くわけではないが、ロジャーはまだ受け持ちの講義もあったから、毎日行く。  家を出れば割と時間を捻り出す事は出来た。 それでもユーツーと会う時間は減った。彼にも仕事がある。 (結婚がこんなに窮屈だとは思わなかった。 早まったな。私は独身を貫くべきだった。)  気まずいのは夜の時間だった。 今までロジャーが使っていたベッドは代えられてしまった。  彼女の持って来た嫁入り道具だというダブルベッド。これ見よがしに華やかなベッドだ。  初夜の時、渋々彼女に手を伸ばした。 「ロジャーは経験豊富なの?」 そんな事を聞いて来る。ロジャーはバイだから女性経験もある。ただ、あまり好きではない。 「私を愛してる?」 強引な口づけ。愛せるわけが無い。彼女は大胆に股間に手を伸ばして来るが、どうも気が乗らない。義務だと割り切って彼女を抱いた。 「先生、大きいわ、凄い。」 大きさを比較出来るくらいには経験があるらしい。 「バレエダンサーはホモが多いのよ。 ゾッとするわ。」 (バレエダンサーに失礼だろう。) 萎えてしまった。 「すまないね。疲れているんだ。 今夜は私は奥の和室で眠るよ。」  そう言って寝室から逃げ出した。 「やれやれ、こんな結婚生活は続くわけない。 早い方がいいだろう。」  離婚を考えた。

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