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第38話 ハジメとスグル
ハジメは、途上国の単発の現場で働くようになった。身体を酷使する事で、少しずつ立ち直る事ができている。
色々な重機オペレーターの免許も取った。語学も堪能なので仕事は多い。
日本に帰って来ると、あの倶楽部で男娼を探す。もうミカドの事は過去になった。もちろんジェロニモも。無理矢理過去にした。
たまに先客がいなければ、ミカドに相手になってもらえるが、以前ほどの執着を感じない。
二人の恋は終わったと言う事だ。
ミカドはプロだから、いつも恋をしている。恋を仄めかして虜にするのはお手のものだ。
その疑似恋愛を承知で、ご指名は絶えない。
ロジャーもその一人だった。遊び慣れている。ユーツーを失ってから、益々遊びの恋が上手になった。お互いにドライでミカドのお得意さんだ。
スグルは日本に帰ってからは、バーテンダースクールに通う傍ら、あの下北沢のハッテン場にも顔を出すようになった。
学生の頃、あそこにあるスナックのマスターにゲイのセックスを教えられてから、下北沢はスグルのもう一つのホームタウンになった。男が欲しくなると出かけて行く。
マッチョでイケメン、セックスも強いスグルは結構モテるが誰とも恋人にはならない。一回でおしまい、だ。
「スグルちゃんはプロがご所望よ。
ベタベタした子は嫌いなの。二度目はない。
いつもワンナイトだけで終わるの。」
学生時代、童貞をもらってくれたマスターが、みんなに言って牽制してくれる。ゲイ界隈では有名だ。安心できる街。
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