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第39話ミト
そして運命のあの夜。
ハジメはミトを見つけた。
ロジャーの寵愛を独り占めして、ロジャーの自慢の恋人。ロジャーはみんなに見せつけたかった。着飾らせて侍らせる、恋人をそんな気持ちで連れて来た。
その手を離さないで。しっかり握っていなければ、誰かに盗られてしまうと言うのに、ロジャーは迂闊だった。
ユーツーが来ていた。懐かしい恋人。想いを断ち切れないまま別れた愛する人。
その口づけに我を忘れた。ミトから目を離してしまった。
ミトは世間知らずだ。ましてやここは普通の場所ではない。初めて来た倶楽部でロジャーの研究室の学生、尊に出会ったミトは、2階について行ってしまった。
『レイモンの部屋』と書かれたドアを開けると
サディストの沼田レイモンがいた。
ボンデージのマッチョなレイモンは尊の恋人だった。並んで、初めての鞭を受けた。
恐怖に逃げ出したが人が多くて、ロジャーの所に戻れない。ロジャーは誰かとキスに夢中だし、尊はまだプレイの最中だ。
泣きそうな気持ちで入口の方を見ると、逞しい男が手を繋いで外に連れ出してくれた。
ハジメとの出会い。
「その先に俺の車が停めてある。」
「カッコいい車だね。」
「2ヶ月ほど空港の駐車場に停めっぱなしだったから、埃だらけだ。
さっき、日本に帰って来たんだ。
ドライブでもするかい?」
「うん、行きたい。」
(ロジに言わなくちゃ。でもロジは誰かとキスが忙しくて、僕の事忘れちゃったみたいだ。)
「何処に行こうか?ウチに来るか?」
「うん、遠いの?」
「残念だな、すぐそこだ。」
こうしてハジメの家に三日間居続けた。
三日目にロジが迎えに来た。どうしてわかったんだろう?
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