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第40話 ロジは死にそうな顔をしていた
(ミトは特別なのだ。私の天使は消えてしまった。)
ロジャーはミトがいないことに気づいた時、気も狂わんばかりだった。
探し回って夜も更けたころ、倶楽部に戻って小鉄を呼んだ。
「そう言えば、ハジメちゃんが来てた。
帰国したばかりで、埃っぽくてワイルドでセクシーになって。」
「ミトちゃんらしき人と外に行ったみたいだ。」
レイモンが
「尊と一緒に来たのはミトちゃんかもしれない。初めて見る顔だった。私の鞭を受けてたよ。」
レイモンの胸ぐらをつかんで
「怖がらせたんだな。」
ロジャーにしては珍しい。我を忘れているようだ。
「やめなさいよ、ミトちゃんがいないのはレイモンのせいじゃないわ。」
小鉄に嗜められてロジャーは手を離した。
「こんなロジャー、初めて見たわ。」
「ああ、ミトはあいつのところにいる。
高任一。私も前から目をつけていた。
いい男だ。」
それから三日、ロジャーは高任家にミトを迎えに行った。
(やはり、ここにいたか。)
怒りよりも悲しみがロジャーを襲った。
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