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第41話 3人
ハジメを受け入れて奇妙な3人の暮らしが始まった。ロジャーのこだわりの無さが、3人の暮らしを危ういものから救っている。
ハジメが臨機応変にリバになり、ジェラシーとは無縁の三角関係は周りを驚かせた。
ロジャーの前では、筋肉自慢のマッチョなハジメが可愛いネコになる。
ミトに対しては激しく攻め、になる。ハジメ自身どちらも違和感なく自分なのだ。
ロジャーは存分に二人を愛する。絶倫なロジャーの面目躍如だ。ミトはロジとハジメに思い切り甘えて幸せそうだ。こんな三角関係が成り立つのはロジャーの懐の深さ、だろうか。
小鉄が
「普通なら理解できないわね。
嫉妬とかないの?」
と不思議がる。
それでも2人より3人の方が家族らしくもあり、幸せな時は続いた。
しばらくして、今夜はあの倶楽部。
ロジャーとミト、二人で来ていた。
「おじいちゃん達は何才なの?」
ミトが無邪気に訊いた事がきっかけになって謎は露呈してきた。
「ミトは遠慮なく何でも訊いてくるのう。」
笑いながら老人が言う。
「だってもうずっと前から、おじいちゃんはおじいちゃんだよね。」
いつ来ても老人なのだ。もう何年も変わらず老人だった。
ロジャーも小鉄も他の仲間も、みんな年を取って行くのに、老人は老人のまま、変わらない。
「老人でいるのは楽なんじゃよ。
年寄りだと思ってみんな油断するからのぅ。
何なら若い頃の儂に会って見たいかの?」
「え、写真とかあるの?」
そこへ黒服の鮫島さんが飲み物をトレーに乗せて現れた。
「七尾と一緒になって、今はヒューストンにいるのでは?」
ロジャーが驚いている。
この辺りから、なんだか非現実の様相を呈してきた。ここは、あの、倶楽部、なのだ。
「ご老人からです。アルコールではないので、お二人ともお召し上がりください。」
「どれ、儂もいただこうかの。」
グラスは三つある。一緒に飲んだ。
「なんか、甘くて美味しいね。何のジュース?」
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