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第42話 魔法?

「鮫島さん、七尾さんと恋人なんだね。」 なんでミトが知っているのか、不思議な事を言っている。ロジャーは 「ミトは七尾に会った事、無いだろう? 私も、もう何年も会ってない。」  ロジャーはどうも腑に落ちない。もう十数年が経っている。七尾とユーツーを取り合ったのは、ミトを知るよりずっと昔だったはず。  そこに颯爽とカッコいい男性が現れた。ミトは 目が釘付けだ。 「いらっしゃいませ。 ロジャー、ミトちゃん。 私はスサ。スサと呼んでください。」 「わかった!須佐之男命だ。 前にアマテラスを引っ張り出した、とか言ってたよね。」  ミトが荒唐無稽な事を言っている。 「おじいちゃんでしょ。若い頃のおじいちゃん。 カッコいいお兄さんだ。」  夢なんだ、と思う事にした。信じられない事も、矛盾した事もすんなりと頭に入って納得してしまう、夢ならではのご都合主義。 「スサ、お話しよう。僕にはわかるよ。 スサは若い時のおじいちゃんだ。魔法で呼び出したの?」 「面白い発想だ。私は人里をあまり知らないから。」  スサには不思議な魅力があった。 「ミト、ダンスしようか。 前に藤尾さんの所の名都と踊ってたでしょ。 私とも踊って欲しい。」 「スサは何でも知ってるんだね。いいよ、踊ろう。スサがリードしてね。僕上手じゃないから。おじいちゃんにドレスを着るって約束してたのに、今日は持ってない。」  スサのリードで正統派のワルツを踊った。基本に忠実な綺麗なステップ。  ミトは抱かれて踊って、夢見心地だ。耳元で囁くスサの声が素敵だった。 「ロジャーが怒るかな、僕、スサを好きになった。」  ミトはおじいちゃんがスサになったと思っている。夢の中では矛盾はないのだ。都合よく修正してしまう。 「おじいちゃんの姿に戻らないで、ずっとスサのままでいて。」 「ははは、そうだね。 飲み物のお代わりはどう?」 「うん、喉が乾いたかも。」

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