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第43話 夢落ち?

 ロジに揺り起こされた。ミトは 「ああ、そういう事か、夢落ちしたんだ。 ロジは何も覚えてないかな。」  見ると老人がにこにこ笑って見てる。ロジはキョトンとしている。 「眠ってしまったのか?」  ミトにはわかった。夢って事で何もかも曖昧にしてしまうつもりなんだ。 「夢の中では矛盾があっても妙にわかったような気がしてしまう。  おじいちゃん、それを狙って飲み物に一服盛ったでしょ。」 「ふぉっ、ふぉっ、ミトは騙せないなぁ。 どうじゃ、儂の若い頃は中々イケてたじゃろ?」 「うん、これからはおじいちゃんの事をスサって呼ぶよ。」 「ふぉっ、ふぉっ、幻覚を見せる茸とかもあるからのぅ。インドにもあったじゃろ。」 「やられた!これからは気をつけよう。」  ロジャーは怪訝な顔をしていた。  家に帰って来てロジの首に抱きついた。 「不思議だ。なんでロジの事は嫌いにならないんだろう。嫌いな人と、キスなんか出来ないよね。 気持ち悪いもん。ロジなら、何時もしていたい。  好きと嫌いは大きな違いがある。あんな事やこんな事、出来ちゃうもんね。  好き、ってすごい事だね。」 「突然そんな事言うミトの心が見えるようだ。 ミトはキスしたい人がいるんだね。」  ロジは鋭い。隠し事は出来ない。  ミトはあの夜からずっとスサの事が頭から離れない。子供っぽいと思っても忘れられない。 「ロジ、僕ね,あの夜、スサって人とダンスを踊ったの。夢だったのかなぁ。」  帰って来てからミトの様子が変だ、とは感じていた。上の空。もしかして、恋をしたのか? 一体誰に?  これはあの倶楽部に行って確かめる必要がある。ロジャーは焦った。  今まで求められたら抱かれる事はあった。ハジメ限定だが。  今回はよくわからない相手だ。 (あのご老人なら知っているかもしれない。 確かめたい。もう自分にはジェラシーなどないか、と思っていたが。  ミトは成長している。私の手を離れて行くのか。)

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