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第44話 スサ

 倶楽部にやって来た。 「おじいちゃんを呼んで!」 ミトの声に奥から老人が出て来た。 「おじいちゃん、スサに会いたい! ねぇ、死ぬほど会いたいよ。」 ロジャーは苦笑いだ。 「待っておれ。」 老人が奥へ引っ込んだ。 (変装する時間が必要なの?)  しばらくして背の高いイケメンが出て来た。 東洋人の顔立ち。スレンダーで美しい。スサだ。  髪を一つに結んで、少しハジメに似ているかもしれない。ほっそりしたハジメ? 「スサ!」 ミトが抱きつく。 (なんだ、このチリチリした気持ちは。) ロジャーは自分の大人げない嫉妬の感情を認めたくない。  ミトはなりふり構わず抱きついて、二度と離したくない、と思った。 「スサはおじいちゃんなの? なんでそんなに若くてカッコいいの? 妖術使いなの?」 (このままでは帰れない。ミトを泣かせたくない。 それでハジメを受け入れた過去がある。  しかし今度はどうしたらいい? ミトの気持ちを優先しても、私はこの青年にミトを差し出すわけにはいかない。  大体この青年は、誰なんだ?) ロジの葛藤。ミトが抱きついて離れない。  スサは困ったような顔で、それでも優しく抱きとめてくれる。 (いい奴だ。だが,何者なんだ? 本当にご老人の若い頃の姿が、現れたというのか?) 「ミト、帰ろう。 君、スサ君と言ったか? 良かったら君も私たちの家に遊びに来ないか?」  ロジャーは寛大な声をかけた。精一杯の矜持だった。  小鉄が飛んできて 「私もご一緒するわ。」 賑やかな事になったが、ロジはホッとした。 「みんな一緒なら楽しいね。 スサは大丈夫?予定とかないの?」 「ああ、お邪魔していいなら。 伯父さんに断って来るよ。」

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