46 / 74
第46話 デート?
スサは小鉄に送られてあの倶楽部に帰って行った。
「フェラーリは2シーターだから、置いてきて正解ね。」
小鉄の恋人のジョーが、自分の車で迎えに来た。
小鉄がフェラーリテスタロッサで攻めているので、ジョーは落ち着いたクラウンアスリートv、で日常の雑用を引き受けている。セダンと言ってもターボエンジン搭載、昔の走り屋面目躍如である。
今日もミトはロジャーにまとわりついて仕事の邪魔をする。
最近ロジが調べ物をしているのは、出雲地方の神社の歴史だった。そもそもこの国の始まりにまつわる話は実に興味深い。
国作りの話はありえない事ばかりだ。神話だから、神がかっているのは当然だが、それが現代に続いていると言うのは面白い。
何故か神道にハマっている。調べて見よう、と、今日ロジは大学に来ている。
物理学研究室にミトもついて来た。ミトはスサとデートなのだ。ここで待ち合わせ。
ロジがご老人に連絡をとって、ミトとスサのデートが実現する。ロジはいつも
「なるようになるさ。」
だったから、ここまでこぎつけた。
「ロジ、普通のデートって初めてだ。」
「スサに任せればいいよ。おわったら、ここに帰っておいで。研究室にいるからね。」
数多の恋をして来たロジだが、ミトと出会って生き方が変わった。
自由に、好きなようにさせる。必ずロジの元に帰って来る、と言う自信。
今、ミトはスサと名乗る謎の青年に夢中だった。スサは爽やかな屈託のない好青年に見える。
だからロジはあまり心配していない。ミトがハジメを追いかけて、一年近くインド、ネパールを旅した時も許したのだ。
(可愛いものだな、初めてのデートだという。
帰って来たら話を聞かせて貰おう。)
二人は大学の近くを歩いた。
「スサは馬を飼ってるの?」
「うん、飼ってるというか、お世話をしている。
可愛いよ。」
手を繋いだ。スサの手は大きくてゴツゴツしていた。
「馬の世話をしているからあまり綺麗な手じゃないな。」
「うん、傷だらけ。」
こんなほのぼのしたデートなんて初めてだった。
ともだちにシェアしよう!