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第49話 出雲に帰る

 次の日、老人が 「おお、そうか、 もう帰らないといかんのじゃな? おまえは一応神職じゃからのう。  あの、奥の神社も長らく留守には出来ん。神馬が飢える。」  後ろ髪を惹かれる思いで、スサは出雲に帰った。 「おじいちゃん!スサはどこ?」 三日後、  ミトがロジに連れられて倶楽部にやってきた。 息を切らして走って来たミトに老人の非情な言葉が聞こえた。 「帰ったって?そのうち帰るって言ってたけど、こんなに急だったの?  酷いよおじいちゃん。 僕、出雲に行きたい。ロジ連れて行って!」 「スサは出雲奥の院で、神主なのだよ。 そうそう留守には出来ないんじゃ。 馬の世話もある。」  ミトはこんなに悲しくなる自分が不思議だった。ロジの暖かい腕の中でも、心は鎮まらない。 「おまえさんがどうしてもスサに会いたいのなら一人で行くのじゃ。  いつまでも、ロジャーに頼ってはいかん。」 「ご老人、焚き付けないでくださいよ。 ミトは直情径行な奴ですから。」 「いや、あそこは覚悟がなくては辿り着けん。一人で行くんじゃ。」 「うん、僕一人で行く。 インドにだって一人で行ったじゃない。」

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