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第64話 バー高任

「バー高任」にみんな集まって来る。ここはスグルの店。彼のこだわりが詰まったウヰスキー専門店だ。  ジャズとシングルモルトの店。かかる音楽は、主にジャズとブルース、アンド モア。  時として何でも有り、だがカラオケはない。 ギブソンJ45、エレアコ。今では貴重なギターだ。それとアップライトピアノ。  ロジャーが時々、プロ並みの演奏を披露してくれる。  歌いたい人は、自分で演奏して歌う。スグルの許可が必要だ。  大抵は古いレコードがかかっている。繋ぎにCDの時もあるが、スグルはいい顔をしない。レコードがメインだ。  スグルはいつもクールに、同じ男とは二度関係を持たない、などと嘯いていた。恋に溺れる事などない、と。  ずっと心に秘めていたハジメへの想い。 そんなスグルが本気の恋をした。ハジメへの想いを軽々と飛び越えて、スグルを虜にしたのは礼於。ホストの美青年。  二人は永遠の愛の証にタトゥーを入れた。 始まりは礼於の一目惚れだった。初めてスグルに抱かれてから、ひと月、姿を隠した。ホストクラブディアボラの社長も探しにきた。でもスグルにも行方はわからなかった。ひと月後、スグルの元に現れた礼於の肩にはタトゥーが入っていた。スグルの眼だ。それとギニアの愛の言葉。そして小さな龍。  スグルも礼於に愛の誓いを込めて、背中に和彫で、鴉彫りの昇り龍を入れた。  いろいろな事件もあり、紆余曲折もあり、結ばれたスグルと礼於。  今もホストを続けている。引き留められて辞められない。色恋の接客は無しだ。ディアボラが終わるとバーに帰ってくる。ほぼ毎日のルーティンワーク。

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